雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

悪意

2015-07-03 21:00:00 | 

東野圭吾著"悪意"を読みました。
読み始めてすぐに犯人はこの人なんだろうなと気づきました。
その通りすぐに逮捕されてしまいます。
犯行は認めるものの、殺した理由については話そうとしません。
登場する刑事は加賀恭一郎です。
加賀が刑事になる前は教師をしていたということは知りません
でした。
犯人の野々口はその時の同僚です。
犯人をつきとめるための捜査の過程を描いたのではなく、
殺人を犯した理由をつきとめる話です。

殺されたのは人気作家の日高です。
野々口とは中学時代の同級生です。
友人で二人とも作家をめざしていました。
野々口は日高の口利きで童話作家として活動を初めていました。

野々口は逮捕されすぐに病気で倒れてしまいます。
厳しい状況で本人は死期が近いと思っています。
死んでしまうと思い込んでいるからできた犯罪ともいえます。

犯行理由はこうなのではないかと突き止められます。
しかしそれを疑った加賀によって真の理由が突き止められます。

端を発している出来事は学生時代のいじめです。
いじめを扱った話は多いです。
いじめられたら立ち向かっていくか、逃げよといいます。
なんだかな、なんか変と感じます。
たとえその時いじめられていた人は逃げたとしても、いじめを
している者たちは別の標的を見つけます。
それはいじめをしている人が大人になっても続くでしょう。
苦しむ人が、ずっと出続けます。
いじめられる方にどうこうしなさい、ではなくいじめる方を
どうにかしなくてはいけないのに問題視されていないのは
どうしてなんでしょう。

最後まで読むと"悪意"という題名の意味がはっきりします。
ほんと、悪意ですね。
しかしいずればれて本当のことがあらわされて、望んでいたのとは
逆に蔑まされることになるのがわかりそうなものなのに。
自分は死ぬんだから後はどうにもなれと思っていたのでしょうが
手術することになり簡単には死ねなくなって思惑とは
違ってきたようです。

読んでいる時はどう展開していくかその少し先までは想像がつきます。
しかし先の先まではわかりませんでした。
それがこの本のよさです。