ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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富川1日観光(3) ミュージアム漫画奎章閣(漫画博物館)

2010-10-28 23:47:35 | 韓国旅行の記録
 → 富川1日観光(1) しくじってもそれなりに・・・・
 → 富川1日観光(2) 教育博物館

 9月16日、冨川教育博物館の次に、第1目的地の韓国漫画映像振興院に行きました。
昨2009年富川映像文化団地内の約2万6千㎡(東京ドームの約半分)の敷地に、地下2階地上5階の漫画映像振興院の建物2棟が新築されました。
 その1棟がミュージアム漫画奎章閣(뮤지엄 만화규장각)つまり漫画博物館(+図書館+アニメ上映館)です。もう1棟は漫画・アニメのアトリエで、3分の1の家賃で優遇され育成されているとのことです。


 外観は、上の写真のように立派で、アジアでも最大の漫画関連施設だそうです。
中の展示も思ったよりずっと充実していて、やっぱり富川教育博物館とは段違い平行棒です。
 しかし、以前は教育博物館と同様総合運動場内1階にあったようで、富川市のサイトの日本語版はまだそのままになってます。

 展示は、一応時代順になっています。
 以下、写真で紹介します。

  
【昔の貸本屋を再現。ヤクドンイ(약동이)とヨンパリ(영팔이)の漫画は私ヌルボも読みました。】

 
【コボンイ(꺼벙이)もオールドファンには懐かしい。作者のキル・チャンドクさんは今年1月逝去。】

【80年代末に創刊した漫画月刊誌「宝島(보물섬)」。ヌルボも1冊持ってます。】

【上段中央の金童話(김동화)さんの絵はすぐにわかります。その右は「ナデロ先生」のイ・ホンウ(이홍우)さん。】

  
【近年の人気作「偉大なるキャッツビー」。右は「食客」に「魔法千字文」に「赤い自転車」に・・・。】

【この「メンコンイ書堂(맹꽁이서당)」という漫画は知りませんでした。今度読んでみます。】

【パク・テオク(박태옥)さんの「テイリ(태일이)」は焼身自殺した労働者・金泰壱を描く。

 その他の展示等については、次のサイトを参照のこと。
韓国漫画映像振興院の公式サイト(ハングル)
漫画奎章閣(ハングル)
ディジタル漫画奎章閣(ハングル)

 さて、全体的に興味深い内容だったのですが、注文をつけたいのは以下の諸点。
1.代表的漫画家の系譜・経歴等、もっと緻密に、系統的に説明をつけてほしい。数字等の統計・記録の資料も・・・。
2.パンフレット、図録等を編集・販売してほしい。復刻版等も作って販売してほしい。
3.これが一番の問題になる点でしょうが、日本の漫画の流入や影響について全然触れられていない! 日本人として不満、というのではなく、正しく歴史を伝えるという観点からそう思います。


 3.については、仁愛大学(at福井)の山中千恵先生によると、むしろ意識的に(精力的に、必死になって・・・)日本の影響を漫画の歴史叙述&展示から除去していったそうです。
→ 「福井新聞」の記事参照。
 さらに、同じく山中千恵先生の「「たかがマンガ」を通して見える日韓社会とは」と題したレポートでは、韓国で漫画映像振興院が設立され、日本で国立漫画博物館構想がポシャった背景等々も含めて、日韓の漫画文化に対する見方の差異等が詳しく分析されていて、とても興味深い内容です。

 韓国の漫画史の叙述は、古代は高句麗壁画、近代は1909年愛国的な新聞「大韓民報」に掲載されたイ・ドヨンの挿画からとされているそうです。漫画史も、しっかりと民族主義で裏打ちされているんですね。
 今から何年か何十年か経ったら、「なんで文化史を書くときに、イワシの小骨を毛抜きで抜くように、外国(とくに日本)の影響を徹底的に排除したんだろう?」ということが彼らの子孫の研究対象になると思います。


 → ソウル近郊・富川市内で延伸工事中の地下鉄7号線と、「野人時代スタジオ」のこと

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