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「沈黙の町で」奥田英朗

2013年07月25日 09時31分50秒 | 読書
「沈黙の町で」奥田英朗



ある中学で2年生の男子生徒がテニス部の部室横の木の上から落ち,頭を打って死亡した.

自殺か事故か殺人か?

捜査が進むうち,その中学生がいじめに合っていたことが判明するが,いじめと死亡との関連も判然としない中,殺人の可能性があるということで,地元警察はいじめの首謀者である4人組を別件で逮捕する.

事件が起きてから,真相がわかるまでの展開と,過去において皆が仲良く中学生活をエンジョイしている状況から,徐々に人間関係が壊れ,事件に至るまでの展開が2次元的に並行して(交互に)描写される.

中学生の人間関係は想像以上に複雑で,仲間を裏切ることは決してしないという妙な正義感や,言葉で表現することの下手さ稚拙さが相まって,捜査は難航する.

そこに奥田さん独特の「変な人」が絡んできて,話をややこしくする.
変な人というのは,加害者側の弁護士だったり,被害者側の叔父さんだったりするのだが,変な人の描き方は「空中ブランコ」や「インザプール」で証明された奥田作品の真骨頂ですな.

しかし,何と言っても,被害者,加害者側双方の母親の心情を吐露するくだりが迫力十分で,読んでいるこちらも胸が痛くなる.

最後は真相は解明されますが,物語的にはもう少し,エピローグが欲しかったなあと思いました.


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