書く仕事

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「シュガーレス・ラブ」山本文緒

2007年01月18日 22時28分35秒 | 読書
男に生まれて良かったとしみじみ実感させてくれる小説です。
女の方って本当に大変なんですね。
女の人は、ただ生きるだけでこんなにも気を使わなければならないのか?
それが、例えば仕事で成功したいとか、男性にもてたいとか、夢なり野心なりがあって、その実現のために苦労すると言うなら話はわかります。
男は大体そういうことで苦労する動物ですから。
でも、女の方はそうじゃない。
ただ、女として世の中で生きていくだけで、こんなにも疲れ、自分と他人を欺き、心身ともにボロボロにならなくてはならないのでしょうか?
もちろん、小説の中の話ですから、かなりのデフォルメはされているのでしょうが、なぜか妙に現実的な話なんですよね。
10篇の短編小説集ですが、各ストーリーのヒロインは皆、心の不安定さが原因である病気を抱えている。
骨粗しょう症、アトピー性皮膚炎、便秘、突発性難聴、睡眠障害、生理痛、アルコール依存症、肥満、自律神経失調症、味覚異常の10の病気です。
いずれも、抱える病気のために、仕事や人間関係にものすごい危機がやってくるのですが、意外な理解者が現れたり、心の変化で一筋の光明が表れたり、いずれも救いがある方向に向かうので、読後感はとてもさわやかです。
辛い出来事の後ほど救いの手は暖かく感じられるのですね。
ただし、「月も見ていない」(生理痛)は例外です。
この話だけは救いがない。
山本さんはなぜこのお話を加えたのかあ?
いろいろと考えてしまいます。
あと、山本さんの文章はとても平易で読みやすいです。
これはすばらしいことです。
難解な漢語を使わないせいでしょうか。
すいすいと頭に入ってきますし、1文1文に説得力があります。
この方の長編を読んでみたいなと思いました。


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