書く仕事

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「平面いぬ」乙一

2010年09月06日 14時47分51秒 | 読書
「平面いぬ」乙一




GOTHに続き,乙一さんを読むのは,これが2作目だ.
「石の目」,「はじめ」,「BLUE」,「平面いぬ」
4つの中編からなる文庫本.

たぶんストーリーを書いてもちっとも面白くないと思う.
乙一ワールドとも言うべき独特の雰囲気で読ませる作家だから.

いずれも,設定はオカルト的あるいはホラー的だが,この本を読んで怖いと思う人はいないはず.
むしろ,ファンタジーやメルヘンに近い.
ただし,ただの童話的メルヘンではもちろんなくて,「本当は怖いイソップ童話」みたいな雰囲気があり,さらに善悪を超えた独特の美意識を感じさせる作家だ.
悪意,いじめ,憎悪などの否定的な感情を描いておきながら,なぜか読者には一種の安らぎに近い香りをかがせる才能がある人だ.

汚いものを,美しく見せる技術(?),これは天賦の才と言うべきだろう.


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