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「滅びのモノクローム」三浦 明博

2014年02月15日 12時13分05秒 | 読書
「滅びのモノクローム」三浦 明博



第48回江戸川乱歩賞受賞作.

コピーライターの日下は大の釣りマニア.
釣りそのものだけでなく,道具,特に骨董的な釣り具に造詣が深い.

彼が仙台の骨董市で買った古い釣り用リールと,それと共に入手した柳行李(やなぎごうり)に昔のフィルムが入っていた.
好奇心のままにその由来を調べていくと,最初からあったフィルムとは別に,リールの中から,古い16ミリフィルムが見つかったことを皮切りに次から次へと謎が湧き出てくる.
そして,ある政治家の戦争中のスキャンダルに行き当たったところで,二人の身に,とてつもない危険が迫ってきていることが判明する.

戦争という,人間が作り出した,巨大な悪の中で心を歪めてしまった人たちと,その犠牲になった在日外国人.

悲劇が悲劇を呼ぶ.

基本的にミステリーなので,謎解きの面白さの比重が大きく,上に述べたほどは戦争の悲惨さが伝わってくるわけではない.
戦争の悲劇はこんなものではない,という気もする.

ただ,やはり江戸川乱歩賞の特徴でもあるが,謎解きの構成の大きさは素晴らしい.
謎が小手先ではない,スケール感のあるものになっているのはさすがだ.


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