書く仕事

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「ダヴィンチコード」ダン・ブラウン

2006年06月04日 18時32分48秒 | 読書
ダビンチコードを読了しました.
まずは,読んでない人のために出だし部分のあらすじを...
高名なルーブル美術館長ジャック・ソニエールが,彼の職場であるルーブル美術館内で殺されます.ソニエールは,紫外線をあてると字が浮かび上がるペンで,奇妙なダイイングメッセージを残すとともに,ダビンチの描いた有名な人体図を模した形で横たわっていました!そして,体の中心部に五芒星(ごぼうせい,5つの頂点をもつ星型のしるし)の絵を自分の血で描いていたのです.
主人公はハーバード大学教授で宗教象徴学者のロバート・ラングドンですが,ダイイングメッセージの中にラングドンの名前が含まれていたために,フランス警察はラングドンを犯人と断定して逮捕しようとします.しかし,ソニエールは死の直前に,愛する孫娘ソフィーに電話をかけ留守電にメッセージを残していました.ソフィーはソニエールからの伝言を聞き,祖父の危機とラングドンの無実を知り,祖父を失った悲しみの中で,逮捕寸前のラングドンを助け出します.
一旦は難を逃れたラングドンですが,実は同じ日,ソニエールと会う約束をしていました.
その約束はソニエール殺害のために実現されませんでしたがね.
面会の目的は,カトリック教会が長い歴史の中でひたすら隠し続けてきたある驚愕の事実,キリスト教の根幹にかかわり,これが発覚すると世界中のキリスト教信者の間に大混乱が起こるような事実についての話し合いでした.ソニエールはすでに自分の命の危機を予感し,キリスト教の秘密と愛する孫娘ソフィーを守ることをラングドンに頼むつもりだったのです.ソニエールはラングドンとは面識がありませんでしたが,ラングドンが書いた著作の中に,キリスト教の秘密に関する考察があり,この部分の内容が的を得ていたため,自分の死後を託せる人物だと確信し,面会を申し込んできたのです.
以後,知恵の限りを尽くして歴史の真実を探り当て,自らの潔白を証明しようとするラングドンとソフィー,フランス警察の威信にかけてルーブル美術館長殺害犯人を捕まえようとするファーシュ警部,ソニエールが守る秘密を横取りして自らの権力拡大を図ろうとするキリスト教一派の司教と修道僧,この3組の面々が入り乱れ,しかも驚愕の事実が次々に明らかにされつつ物語が進展していきます.
さらに,ラングドンとソフィーに,イギリス人の宗教学者で「大金持ち」のリー・ティービングが助っ人として加わり,このティービングの知識と財力に助けられながら物語は急展開していくのですが...
とまあ,これくらいにしておきますかね.
これくらいならネタばれにならないですよね > もう読んだ人
この物語は,はっきり言ってかなり複雑です.複雑なんだけどわかりやすい!へんなほめ言葉ですが,この点がスゴイです.
たぶん,その複雑さが,ティービングやラングドンが語るキリスト教の隠された真実を謎解いていく歴史ミステリーと,ソニエールを殺した「本当の」犯人は誰かという犯罪ミステリーとに明確に集約され,どちらもミステリーとして面白いためですね.それと変に読者を欺こうとする揺さぶりがないことも上げられると思います.
あと,キリスト教信者でない私のようなものにとっては,自分の宗教的バックボーンを危うくされるというような危機感を感じずに,客観的かつ純粋に物語を楽しめる点も大きいと思いますね.
敬虔なクリスチャン特にカトリックの信者は心穏やかならぬものを感じることでしょう.
ひとつ不満を言わせていただくと,歴史ミステリーの方の結末があまりに感覚的というか,恣意的ですね.いままでの見事なロジックはどこに行ったの?私はこんな結論のために今までどきどきしてきたの?っていうがっかり感は否めません.
これも途中の物語があまりに面白いがための不満ですね.ぜいたくな不満かもしれませんが.
まあ,驚愕の事実が公になって世界が大混乱に陥ってしまっては,ミステリーじゃなくてパニック小説になってしまうし,落としどころというか,妥協の上の結論かもしれません.ここはこれで良しとしましょうか.
面白いか面白くないかと聞かれれば,「文句なしに面白い」と答えましょう.でも不満は無いですか?と聞かれれば,「不満あり」という感想です.

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2 コメント

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ダ・ヴィンチの絵 ()
2006-06-06 12:35:00
こんにちは。



ダ・ヴィンチの絵画の解釈とか面白いですよね。

私はキリスト教信者ではありませんが、こういう話はとても興味があります。歴史や絵画の謎に迫るってなんか、わくわくしますね。
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>悠さん (coollife)
2006-06-06 21:12:19
前半部分の展開はほんと,息をもつかせぬという感じでした.

ただ,いろんな人のブログを読んでみると,キリストに子孫がいるという話は西欧では結構良く知られている説らしいですね.
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