風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

谷川俊太郎 『嵐のあと』

2006-11-16 20:44:29 | 

手紙が来た
男は不運を嘆いている
おそらく無数の小さな決断の誤りがその原因なのだ
しかし誤りっていったいなんだ

理性は誤るとしても感情はどうか
泉のように噴き出て尽きることのない感情は
たとえそれが人を破滅に導こうとも
正しい

(谷川俊太郎『嵐のあと』より)

はっとした。
あたりまえなことなのに、言われてはじめて思い出した気分。
どうも私は(たぶん現代人の多くは)、理性を感情だと勘違いしてしまいがちなのだ。

人はよく「あのときの判断は間違いだった」って後悔するけれど、間違えたとしたらそれは理性であって、その時々に湧き上がっていた感情はいつだって「正しい」しかない。「あの悲しみは間違いだった」「あの喜びは間違えていた」なんてないし、そんな風に感じるとしたらそれは感情ではなく理性だったということだ。
それなら、感情に従って決めた決断にも「誤り」はないのだ。
その結果がたとえ破滅であったとしても、それはいつだって正しい。
だから私は、決断をするときは、最後は理性より自分の感情に従いたいと思うのです。後悔しないために。

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