- マンションの大家さん依頼があって現場へ出掛けた。間取りは2DKで最上階の角部屋。
腐乱死体が発見・処理されたのは約一年前で、あとはそのままの状態で一年間も放置され
ていた現場だった。
一年間も手を入れずに放置しておくなんて、かなり珍しいケースである。隣近所はもちろん、大家さんもそんな物件を抱えたままで気持ち悪くなかったのだろうか、と不思議に思った。
同時に「一年経過した腐乱臭は、どんな臭いになっているだろう」と興味を覚えた。
「腐敗臭の中でも、めったに嗅げない匂いに違いない」といそいそと出掛けた自分に苦笑い。
誰もが忌み嫌う腐乱死体の発見現場に喜んで出かけて行く訳だから、我ながら、つくづく神経が麻痺してきていると思う。
現場に到着して、玄関を入ってみたら、全く期待外れ?で、いつもの腐敗臭と変わりはなかった。一年間熟成された腐敗臭がどんな臭いか期待していたのに・・・残念(バカな自分)。
逆に、一年経っても、悪臭度が全く低下しない腐乱死体のスゴさを感じた。
ただ、時間経過を思わせたのは、腐敗液を吸ったフローリング床がめくれ上がっていたことと、原因不明の木グズのような粉が床にたくさんあったことくらい。
腐敗当時はウジも大量に発生したはずだが、みんなハエになって飛んで行ったのだろう、ウジ・ハエは一匹もいなかった。どこかに飛んで行ったハエは、またどこかの死体に卵を産んで、子孫を増やしていることだろう。そして、その子孫達と私はまたどこかの現場で再会するかもしれない。
「ハエさん、お手柔らかに頼むよ。」
亀や鮭が故郷に戻ってきて再会するのとは次元が違い過ぎて、自分でも可笑しい。
トラックバック 2006/05/29投稿分より