僕たち人間には、未来を見通すことは残念ながら不可能です。この世界には必ず不確実な部分があり、それが確実なものと混在している(この状態を「偶有性」といいます)からです。その中で生きていくために大切なのは、何が起こるかわからないという不確実性を、不安に感じるのではなく、楽しいと捉(とら)えることができるかどうかだと思います。 . . . 本文を読む
「昭和前期の国家」つまり昭和初年から終戦までの日本を書きたい、という司馬の意欲は強かったが、ついに書かなかった。長編小説の主人公になりうる人物がなかったともいわれている。山形さんも「書くに値する人物がいないんだ」という言葉を聞いている。司馬は結局、随筆や紀行などに専念して「晩年」を迎えたが、こうした作品群でものんきな世間話は書けなかった。 . . . 本文を読む