カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『タチコギ』三羽省吾 幻冬舎文庫

2012-02-02 21:25:39 | 番外
待望の文庫。主人公柿崎(カキザキ)信郎が息子を連れて故郷に帰る。祖母の葬儀。祖母はかつての鉱山町に一人住む。両親はそこから離れ、自動車工場のある町からやってくる。ノブ(少年時代の柿崎)は鉱夫の息子。幕末から続く家。父喜一郎は鉱夫の中の顔役の一人。江戸時代以来の友子の伝統に生きている。四年生のノブ、体が大きく誰も逆らえないウネリン、そしてチクワ、ガボちゃんといった仲間たち。昔からの鉱夫の町、山の手には背広組が住み、さらに独身鉱夫たちの宿舎もある。そしてゲロ、軍曹といった不思議でちょっと外れた大人たち。現在と小学校時代を交互に物語は進む。少年時代がとてもイタイのだ。鉱山は山猫ストが行われ、アメリカ資本が入ってくる。その中で子供たちの中でも変化が起こっていく。夜一人外に出た柿崎。たまたま入った居酒屋で話を始めた。なんとも切なく、重たく、それでいて微笑ましくもある少年時代が語られて、少々しんどかったが、☆☆☆☆ほ。

『巡査の休日』佐々木譲 ハルキ文庫

2012-02-01 23:12:54 | 和物
 道警シリーズ第四弾。佐伯、津久井、小島といった面々の一週間。ヨサコイそーらん祭りの札幌が舞台。強姦殺人犯が病院から逃走、小島がストーカー被害者を守り、銃撃した相手。その被害者のもとに怪しいメール、小島はその警護に。佐伯は刑事課で半ば干された状態。それでもかつてのキャリアの悪を暴くことに思いをはせる。逃走犯を追う津久井。仙台、神奈川と飛ぶ。理想と現実、そしてその折り合いの中で、かつて道警の不正を暴くのに立ち上がった裏捜査本部の面々が描かれる。☆☆☆ほ。