再々読シリーズ。最初に読んだのは2005年、まだ伊坂作品を読み始めたばかりの頃。冒頭に掲げられたエッシャーの絵。これが本作の中に大きな意味を持つ。延々と続く騙し絵の階段とそこを登る、あるいはたたずむ兵士(または僧)。五つの視点で物語。大手の画商戸田、戸田にからめとられようとしている新進の画家志奈子。独特の美学を持つ空き巣専門の黒澤。新興宗教の教祖にひかれる画家の河原崎と教団幹部の塚本。配偶者の交換殺人を企むサッカー選手の青山と精神科医の京子。さらに元デザイナーで再就職に失敗し続ける豊田。彼らの物語が時に交錯しながら、進んでいく。黒澤のつぶやきは例によっての世界であるし、最後にすべての糸が紡がれていくのもまさに伊坂ワールド。☆☆☆☆。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます