刑務所の受刑囚である金子。何をして受刑となったか分からないが、同房の者の週刊誌である人物の自殺を知る。そこから追憶、昭和56年の初夏、両国の鮨店を舞台に物語は始まる。金子は高校卒業後、最初の職を辞した後、鮨職人の道を選んだ。そこに中卒の少年が後輩の小僧としてやってきた。ゲソというあだ名がついたその男は、天性の鮨職人の腕と、不思議な才覚と、非凡な発想で動き出す。ゲソに追い抜かれ、いつしかナンバーツーの道を歩む金子。ゲソのその行動、「10%理論」、次々とあっと言わせる展開に、こちらもぐいぐい引き込まれる。原という作家はこんな作家であったのか、実に面白く、昭和から平成の時代史でもあって、☆☆☆☆。
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