ピアニスト岬洋介シリーズ第二作。シリーズの第二作というのは難しい。作者の力量がここに現れるとするならば、中山七里、大したものだ。名古屋の音楽大学。主人公はそのヴィルトゥオーソ科でヴァイオリン専攻の四年生。ヴィルトゥオーゾとはイタリア語で「音楽の名手」。プロを目指す学科。音大の学長は老齢ながら日本で最高のピアニスト。ラフマニノフの名手として知られる。定期演奏会で選抜オーケストラは学長のピアノと共演し、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番を演奏するという。そこに事件が起こる。大学が所蔵する2億円のストラディバリウスのチェロが保管庫から消えた。学長のために作られたスタインウェイのピアノがダメにされる。さらに脅迫メールが。前作の出来事が時折、垣間見えることも面白く、そしていくつかある演奏シーンではその枝葉が見事な繁りとなっていく。実に上手い。そして謎解きも、意外性があって、人間があって、少々褒めすぎかもしれないけれど、第一作、第二作と読み進めていくべきものと痛感。☆☆☆☆☆とした。読むのを勧めてくれた人に感謝です。
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