ギリシャ神話あれこれ:カドモスの建国(続々)

 
 ところが、竜を殺されたアレスは納まらない。で、怒り狂うアレスのもとに、カドモスは8年間、贖罪のため奴隷として仕えることになる。なんて間の悪い男。
 無事奉公を終えたとき、ゼウス神は、カドモスとアレスを和解させるため、アレスの娘、調和の女神ハルモニア(母はアフロディテ)を、妻としてカドモスに与えることにする。

 女神にとって、人間の正妻となることは屈辱なのだという。が、ハルモニアは不平など洩らさず、カドモスとの結婚を承諾する。

 二人の婚礼に際しては、神々は豪奢な贈り物にて二人を祝福した。このとき鍛冶神ヘファイストスは、それを身につける者に、見る者を虜にせずにはおかない魅力を付与するという、黄金の首飾りを贈ったという。
 ヘファイストスにとってハルモニアは、妻の不義の子。妻アフロディテへの晴らせぬ鬱憤を、娘ハルモニアにぶちまけるつもりだったのか、彼は、首飾りのきらびやかな細工に紛らせて、怖ろしい呪いを刻み込む。ヘファイストス渾身のこの一品は、誰もが心奪われ、我がものにしたいと望まずにはいられない一方、手に入れたが最後、ことごとく破滅を招くという呪いのアイテムだったとか。

 この呪いの首飾りのため、後にテバイとカドモス一族には、禍が降りかかることになる(別伝では、カドモスの後裔の不幸は、竜を殺されたアレスの呪いだともいう)。

 To be continued...

 画像は、パリッシュ「竜の牙を蒔くカドモス」。
  マックスフィールド・パリッシュ(Maxfield Parrish, 1870-1966, American)

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