世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
動物園へ行こう-ハイデルベルク編(続々々々々々々々々)
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そんなこんなで、暑いなか、お昼過ぎまでハイデルベルク動物園を見てまわった。この頃にはもう、動物たちはみんなシエスタ。なので私たちも、宿に帰ってシエスタすることに。
「世界の美術館めぐりのつもりが、このままじゃ世界の動物園めぐりになりそうだねえ」と相棒がぼやく。
ところで、動物園に行くといつも、初めて見る動物、あるいは新しく眼にとまる動物がいるものなのだが、ここではそれはナミビアネズミ(Namibian Mouse)だった。
実際の名称はよく分からない。表記の記憶を頼りに後で調べたところ、アフリカ・ナミビアにはピグミーマウス(Setzer's Pygmy Mouse)というネズミがいるらしい。ウィキペディアにも、このピグミーマウスのことを“ナミビアハツカネズミ”と記してある。
が、私たちの見たものとは、姿形が微妙に違う。
私たちが見たのは灰色のハツカネズミで、ただし口が象の鼻のように、ストロー状に伸びている。そのケッタイな口をひくひくと動かしながら、一昔前のインベーダーゲームのインベーダーのように、四肢を動かす様子もなくスススと滑るように移動する。
このネズミを気に入ったらしい8歳くらいの女の子が、ずっとそこに佇んで眺めていたのが印象的だった。
帰国してから調べてみようと思っても、結局よく分からない。こうなるとナミビアネズミという表記の記憶も曖昧な気がしてくる。
なので、この変わったネズミに会うには、もう一度ハイデルベルクに行くしかない、ということになる。今のところ。
画像は、ハイデルベルク動物園、ナミビアネズミ。
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動物園へ行こう-ハイデルベルク編(続々々々々々々々)
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さて、チンパンジーのガラスの前に来たときのこと。
棚の上に座っていたチンパンジーの奴、私を見ていきなり、綱にぶら下がってターザンのように空中を飛び、そのまま私に向かって飛びつこうとして、ガラスにベチャッとぶつかって墜落した。これを見た相棒、「お前はアホか!」とチンパンジーを罵る。
……おい、さっきの、動物をバカにする人間は、って価値観、どうなったの。
ヨロヨロと床から立ち上がったチンパンジー、ガラス越しに私たちに向かって、何度か歯を剥き出して見せると、棚の上に戻り、不貞寝してしまった。
すぐさま相棒が言うことには、
「あのチンパンジー、東洋人を見たことがなかったに違いない。チマルさんを同じチンパンジーだと思って、一目惚れしちゃったんだよ、きっと! サルから見ても白い人より黄色い人のほうが、サルに似て見えるんだねえ」
……
初夏の昼どきの太陽はやっぱり疲れる。動物たちも大抵寝ている。それでもオコジョだの、アルパカだの、いろんな動物たちがいるので、勿体ないので隈なく見てまわる。
ここのワシ小屋は、ケージが檻ではなく、ネットのようになっていて、見る側がワシに接近感を持てる。どういう仕組みなのか分からないが、ワシの習性を利用したものなのだろう。このやり方、日本でも真似して欲しい。
To be continued...
画像は、ハイデルベルク動物園、ワシ小屋。
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動物園へ行こう-ハイデルベルク編(続々々々々々々)
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ゴリラはむっつり顔で、日陰に胡坐をかいて座っている。オランウータンは好奇心ありげに、檻につかまってこちらを見ている。
ので、例によって相棒、パフォーマンスを交えてコミュニケーションを図る。と、オランウータンのほうも、檻から交互に両手を差し出して反応する。
こんな相棒は傍から見ると、結構アホに見える。以前はもっとマトモに見えたんだけどねえ。
すると相棒が言うには……
「世間的にマトモに見えるかどうかなんて、意味ないよ。そんなことは昔っから思ってた。でも昔はね、僕はフーリエのように、その人が女性に対してどう対するかで、その人が人間として真っ当かどうかを評価できると考えてた。でもそれだと、女性については評価できない。で次に、子供にどう対するかで、その人が真っ当かどうか評価できると考えるようになった。でもそれだと、子供については評価できない。で、最後に、動物にどう対するかで、その人か真っ当かどうか評価できると考えるようになったんだ。動物をバカにする人間はディーセントな人間ではない! 僕がこんなふうに悟ることができたのも、そばに動物の心を持った人がいたからだよ」
動物の心を持った人間モドキというのは、もちろん私のことで、相棒は私を、動物が間違って人間に生まれてきたのだと信じ込んでいる。
……いつの間にやら、世間的にはますます素っ頓狂な悟りを、開いてしまったもんだねえ。
To be continued...
画像は、ハイデルベルク動物園、不貞寝するチンパンジー。
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動物園へ行こう-ハイデルベルク編(続々々々々々)
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けれども、ヤギの逃亡が二度め、三度めともなると(と言うのは、私たちはもう一度、もう一度、と、懲りずにヤギに触るために何度もヤギ園に舞い戻ってきたので)、あーあ、またヤギ逃げ出してるよ、と呆れるだけで、もはやなんのアクションも起こさない。ヤギが花壇で花をむさぼり食うのに任せる。
赤ちゃんを抱っこしたお父さんが、片手で扉を開けた途端に、食い意地の張ったヤギが一匹、メェ~と器用に扉横を抜け出した。
せっかく赤ちゃんをヤギと遊ばせてあげようとしていたお父さん、気の毒に責任を感じてしまって、赤ちゃんをお母さんに預け、ヤギに向かって突進する。ヤギのほうは慣れたもので、ムシャムシャと葉っぱを食いちぎりながら、すばしこく逃げまわる。
お父さんは散々、ヤギを追いかけまわしたらしい。赤ちゃんを抱くようにヤギを抱えてようやく戻ってきた。疲労困憊のなかに、父親の責任を果たした晴れやかなオトコの笑顔。
が、ヤギのことは飼育員に任せるに限る。彼らはヤギ以上に慣れたもので、ヤギが花壇や低木の垣に入り込んでバリバリと食べているのを見つけると、シッ! シーッ! と声を上げ、ヤギの逃げる先々に瞬間移動の素早さで先回りしつつ、あっという間にヤギ園へと追い立ててしまう。
飼育員、凄。
To be continued...
画像は、ハイデルベルク動物園、手を伸ばすオランウータン。
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動物園へ行こう-ハイデルベルク編(続々々々々)
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餌を持っていそうな子供たちにメェ~、メェ~と迫るミニヤギたち。その勢いにたじろぐ子供たち。が、実はヤギたち、1ユーロの餌なんて本当の目的じゃない。
ミニヤギ園に入ろうと、一群れの人が扉を開けるのを待って、ヤギたちはメェ~と扉をくぐり抜ける。そして、次の一群れを待って、メェ~と次の扉をもくぐり抜け、スイートホーム・ミニヤギ園からの脱出を図るのだ。ヤギ、怖るべし。
つまりヤギたちは、ヤギの餌なんかよりも美味いものがヤギ園の外にあるのを知っているわけだ。ヤギ園脱出は、束の間の至福を目指すヤギたちの常套行為なんだろう。
外に出たヤギたちは、芝生や花壇に入り込んで、低木の葉や芝草、花などを手当たり次第にムシャムシャと食う。
が、初めてこの動物園にやって来て、初めてヤギ園に入ろうとし、その扉を開けた途端にヤギが逃げ出した状況では、訪問客のほうは大いに焦る。私と相棒も、最初にヤギが逃げ出したのを目撃したときには、なんだかちょっとしたアクシデントに遭遇したような気分だった。
その場に居合わせたみんながそうで、互いに見ず知らずの間柄なのだが、同じピンチに陥った者同士、戦友のような連帯感を持って、ワーワー言いながら、協力し合って逃げ出したヤギを追い立てる。角を引っ張ったり横腹を押したり、行く手を遮ったりして、園へと戻すのだった。
To be continued...
画像は、ハイデルベルク動物園、花壇で草葉をむさぼるミニヤギ。
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