ギリシャ神話あれこれ:アルゴーの冒険(続々々々々々)

 
 プリクソスの子らに金羊の毛皮を返してもらいたい、と申し出るイアソン。が、王はイアソンの要求をにべもなく撥ねつけ、逆にプリクソスの子らの帰国をなじる。
 で、こうした場合の例に洩れず、アイエテス王もまた、イアソンに難題を吹っかける。

 曰く、厩にアレスから贈られた、青銅の脚をした、口から火を吐く牡牛がいる。これに軛をつけてアレスの聖地を耕し、アレスの泉の竜の牙を蒔いて、地から湧いて出る兵士たちを打ち倒せ、と(この竜の牙は、その昔カドモスがテバイの地に蒔いたと同じもの)。

 メデイアはイアソンの身の危険を思うと、矢も楯もたまらない。盲目の恋に突き動かされ、彼女は、父王に叛いてイアソンを助けようと決意する。
 
 翌朝、鳥占師モプソスが鳥の言葉を聞き分け、ヘカテの神殿にアフロディテが送った巫女が待っている、とイアソンに教える。イアソンが行ってみると、果たしてメデイアがそこにいた。
 彼女はイアソンに、深夜それを身体に塗ると、剣にも傷つかず火にも焼けない魔力を持つ香油を手渡し、また竜の牙の兵士たちとの戦い方の知恵を授ける。
 夜、二人はヘカテ神を召喚して生贄を捧げ、イアソンの身体に香油を塗った。
 
 夜が明けると、イアソンはアルゴーの一行とともに、王の待つアレスの聖地へと向かった。厩から、炎を吹く牡牛が放たれる。
 が、香油を塗ったイアソンの身体には、火も角も牙も敵わない。彼は火牛を押さえつけ、その首に軛をつけて、聖地を耕してしまう。そして、王から渡された竜の牙を地に蒔き、そこから生まれた兵士たちの真ん中に、メデイアから教わったとおり、大きな石を投げ込んで、自分は楯の陰に身を隠す。

 たちまち兵士たちは同士討ちを始める。そして最後に残った、手傷を負ってヘロヘロな兵士たちを、イアソンは難なく切り倒した。

 To be continued...

 画像は、S.ローザ「竜に魔法をかけるイアソン」。
  サルヴァトール・ローザ(Salvator Rosa, 1615-1673, Italian)

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