ドイツ優勝

 
 ブラジルW杯では、見事ドイツが優勝。日本は実力相応に、順当に早々に敗北してくれて、清々した。

 4年前にドイツを旅行したのは、ちょうど、南アフリカ大会のときだった。どの町もW杯のムード芬々で、窓辺にはドイツ国旗がはためいているし、車のミラー部分にも小さなドイツ国旗が飾ってある。夕刻、地元の人々がビール片手に集う旧市街のカフェでは、みんながみんな、テレビ画面で試合を観戦している。

 ドイツの試合がある日には、フーリガンまがいの若者たちが、ドイツ国旗カラーのブブゼラを吹きながら、クラクションを鳴らしまくって車を暴走する。ニュルンベルクあたりでは、そんな若者らが激増する印象がある。
 列車では車掌が、試合の途中経過とスコアをアナウンス。ホテルの受付嬢も、何気に国旗のネイルやフェイスペイントで応援態勢。

 ……俄かファンの馬鹿騒ぎとは違う。ファナティックなファンもディーセントなファンも、社会に根差している感がある。

 私たちの旅の最終日は、ドイツの準決勝戦だった。夕方、ハイデルベルクの旧市街は、ドイツの国旗や代表チームのユニフォームをまとう人々でごった返していた。
 私たちが旧市街散策のつもりで歩いた先は、パブリックビューイングの広場になっていた。ビールを飲んでいる人々は、それぞれのカフェのテレビ画面を、座って観戦していたが、それより熱心な人々は、立って、大型スクリーンを取り巻いて観戦している。ドイツは劣勢で、当たり前のパスや、なんでもないクリアの一つ一つに、オーッ! と歓声が沸き、拍手が起こる。

 サッカーのユニフォームを着て、国旗を持った男の子が、群がる人々から一人離れて、一心にスクリーンに見入っていた。最後には身体に国旗をまとって、祈るように、試合の行方を見つめていた。
 だが結局、この日、ドイツは敗退した。

 今頃、あの男の子は喜んでいるだろうな。おめでとう、ドイツ。

 画像は、ハイデルベルクの少年。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )