ギリシャ神話あれこれ:オレステスの復讐(続々)

 
 さて、ピュラデスを伴い密かにミュケナイへと戻ったオレステスは、父王アガメムノンの墓を参り、切った髪房を墓前に捧げる。そこへ、卑しい身なりの奴隷女が、墓参りに現われる。それは、弟オレステスが父アガメムノンの仇を討つ日を心待ちに待つ、姉エレクトラだった。
 エレクトラが、この髪の主は? とオレステスらに尋ねる。オレステスらは、あらかじめ練っておいた計画どおり、もっともらしく説明する。このたび、ポキスに身を寄せていたオレステスが不慮の死を遂げたため、王の館まで届けるべく遺骨を持参したところだ、と。

 途端に奴隷女が、わっとばかりに泣き崩れる。骨壷はこの私に渡してほしい。なぜなら私は、死んだオレステスの姉エレクトラなのだから。
 オレステスはびっくり仰天。こちらも素性を明かして、姉弟は思わぬ再会を喜び合う。

 エレクトラは一足先に館に戻り、アイギストスとクリュタイムネストラに、オレステスがポキスで死に、使者たちが遺骨を届けに来た、と告げ知らせる。この偽りの報告を真に受けて、安堵するアイギストスたち。が、形だけは弔意を表して、旅商人に扮したオレステスとピュラデスを館に招き入れる。
 こうしてまんまと館に入り、アイギストスらの眼前に出たオレステスは、アイギストスをばっさりと切り殺す。

 おお、愛しいアイギストスよ、と情夫の死を嘆くクリュタイムネストラの言葉を聞いて、オレステスは憎悪する。この男が愛しいか、ならお前も同じ墓に入れてやろう。そう意って近づく旅商人が、息子オレステスだと気づいたクリュタイムネストラは、胸をはだけて乳房を見せ、命乞いする。この母の乳を飲んだことを忘れたのか、と。
 が、オレステスは母を切り殺し、父アガメムノンの復讐を果たす。

 To be continued...

 画像は、ブグロー「エリニュスたちに追われるオレステス」。
  ウィリアム・アドルフ・ブーグロー
   (William Adolphe Bouguereau, 1825-1905, French)


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