ギリシャ神話あれこれ:空翔ける金羊

 
 私の勉強不足なのだろうが、この金羊を主題とした絵画に、私はまだ出会ったことがない。牡羊座の主題なので、学生の頃から探してるんだけど。
 歴史画家にとっては、他の主題と比べても遜色ないのに、どうしてかな? で、古い絵を観に行くときにはいつも、この主題をチェックしている。

 カドモスの娘イノは、テッサリアの王アタマスと結婚、レアルコスとメリケルテスという二人の男の子を儲ける。ところでアタマスには、先妻である雲のニンフ、ネフェレとのあいだに、プリクソスとヘレという兄妹の双子がいた。
 自分の子が産まれてみると、イノは次第に継子たちを邪魔に思うようになる。

 何事も極端に展開するのがギリシャ神話。イノはとうとう、継子たちを亡き者にしようと奸計をめぐらす。ある年、農民たちが蒔く小麦の種籾を、密かに従者に焙っておかせた。さて、当然その春には小麦は芽を出さない。
 困ったアタマスは、神託を貰いにデルフォイに使者をやったが、これまたイノが使者に言い含め、プリクソスとヘレの双子をゼウス神の生贄に捧げよ、と返答させる。
 で、王としての義務から、アタマスは泣く泣く双子をゼウスの祭壇へと連れていくよう命じる。

 さて、いよいよ双子の兄妹が殺される直前、祭壇をにわかに雲が包み込む。双子の母ネフェレが駆けつけて、双子を雲で隠したわけ。
 で、その間にネフェレは双子を、黄金の毛をした牡羊の背に乗せる。この牡羊は、ネフェレの願いを聞きつけたヘルメス神が彼女に与えたもので、空を飛び、人間の言葉を解するという。

 黄金の牡羊は双子を空高く連れ去って、悠々、テッサリアから逃げ出すのに成功する。

 To be continued...

 画像は、パリッシュ「恍惚」。
  マックスフィールド・パリッシュ(Maxfield Parrish, 1870-1966, American)

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