ギリシャ神話あれこれ:オレステスの復讐(続)

 
 オレステスを逃した後、エレクトラはオレステスの成長と帰国を待ちながら、長らく隠忍の生活を送ることになる。王妃の情夫が王位を簒奪し、王を僭称する。これはエレクトラにとって、父を殺した罪人が同じ館に住まい、父の王座に腰かけ、父の王衣を着、母とともに父の臥床に入る屈辱だった。
 母と情夫は、エレクトラを下女同然に待遇し、貧しい農夫に嫁がせてしまう。母たちはエレクトラから高貴な生まれを取り上げることで、その復讐心を萎えさせようとしたらしい。が、エレクトラを敬愛していた農夫は、彼女に手を出さなかったという。

 一方、ポキスに落ち延びたオレステスは、王の息子ピュラデスとともに育つ。二人は無二の親友となった。

 やがて成人したオレステスは、のっぴきならないジレンマに陥る。古代、殺された父の仇を討つことは至上命題である一方、母殺しは最も忌まわしい大罪とされていた。
 オレステスはピュラデスとともにデルポイに赴き、アポロンの神託を受ける。すると、
「死をもって死に報いよ」……

 オレステスは意を決し、神託に従って、父の仇を討つべくミュケナイへと向かう。

 To be continued...

 画像は、メイ「アイギストスとクリュタイムネストラを殺すオレステス」。
  ベルナルディーノ・メイ(Bernardino Mei, 1612-1676, Italian)

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