ギリシャ神話あれこれ:アルゴーの冒険(続々々々)

 
 ピネウスはその昔、アポロン神から予言の力を与えられた。が、彼はこの特権をむやみやたらに使いまくり、ゼウス神の決定をすら予言によってみだりに人間に暴露する。
 で、とうとうゼウスの怒りを買い、突きつけられたのが、短命と盲目、どちらか選べ、という選択。ピネウスは盲目を選んで両眼を潰され、王座も追われて、今ではビテュニアの岸に、一人貧しく暮らしていた。
 おまけに、貪食な怪鳥ハルピュイア(ハーピー)たちが、食事のたびに空から舞い降り、腐臭を撒き散らしながら食卓を食い荒らすのだった。ハルピュイアというのは、女の顔(と上半身)をした鳥。アエロ(疾風)、ケライノ(嵐の黒雲)、オキュペテ(速く飛ぶ女)の3羽で、虹の女神イリスの妹に当たる。冥王ハデスの遣いで、死ぬのを拒んだ者を冥府に連れて行くともいう。

 さて、盲目の王、予言者ピネウスは一行に、今後の航海を占う代わりに、ハルピュイアを追い払って欲しい、と頼む。
 翼の双子ゼテスとカライスが王を慰めると、あら不思議、彼の眼は再び見えるようになった。翼を持つ二人はさらに、食卓を食い散らかして飛び去ったハルピュイアを追跡、とうとう追いつめたところを、もはやピネウスを悩まさないから見逃すよう、イリスに制止される。

 この返礼にピネウスは、今後の行程を予言する。難所の大岩シュンプレガデスのこと、そしてアフロディテ神の助力のこと、などなど。
 
 出航したアルゴー船は、まもなく、例の大岩シュンプレガデスへとやって来る。この二つの大岩、瀬戸を挟んで向かい合っていて、絶え間なく揺れてぶつかり合い、船をぺしゃんこに圧し潰してしまう、というわけ。

 To be continued...

 画像は、ド・モーガン「メデイア」。
  イヴリン・ド・モーガン(Evelyn de Morgan, 1855-1919, British)

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