ギリシャ神話あれこれ:アルゴーの冒険(続)

 
 イアソンは親切に申し出て、老婆を背負って川を渡る。
 が、この老婆、物凄い重さでのしかかってくる。イアソンが懸命に足を踏み出すうちに、片方のサンダルが脱げて、あっという間に激流にさらわれてしまった。
 ようやく向こう岸にたどり着いて、ど重い老婆を下ろすと、老婆の姿は掻き消えていた。

 この老婆は実はヘラ神。ヘラは以前、ペリアスが自分の神殿を汚したのを根に持っていたので、ペリアスに敵対するイアソンがどれほどの青年か、試してみたというわけ。
 以降、ヘラに気に入られたイアソンは、ヘラの手厚い加護を受けることになる。

 さて、王宮に到着したイアソンは、凛然とペリアス王の前に進み出る。王はイアソンの片足にサンダルがないのを見て、顔色を変える。これ、王が以前、いつか片足にだけサンダルを履いた若者に王位を奪われるだろう、という神託を受けていたため。
 自分は成人に達したので、約束どおり王位を返してもらいたい、と言うイアソンに、王位を手放したくない王は、条件を出す。従兄プリクソスの霊を弔うため、コルキスにある金羊の毛皮を取り返してもらいたい、と。

 イアソンは、王の思惑を知りつつ、敢えてその難題を承知する。

 で、イアソンが同志を募ると、ヘラ神の導きによって、ヘラクレスを初め50人もの英雄豪傑が集う。これがアルゴナウタイと呼ばれる、巨船アルゴーに乗り込んだ勇士たち。
 
 英雄たちの守護神アテナに助けられ、名高い船大工アルゴスが巨船を建造。船は彼に因んでアルゴーと名づけられる。船首にはドドネの聖木、物言う樫の木。
 で、英雄ヘラクレスを初め、竪琴の名手オルフェウス、怪力イダスと千里眼リュンケウスの双子、翼を持つゼテスとカライスの双子、カストルとポリュデウケスの双子、英雄テセウス、カリュドンのメレアグロス、などなどが加わる。
 一行はアテナの祝福を受けて出港、コルキスへと向かう。さて……

 To be continued...

 画像は、デュラック「星占師ティピュスに命令するイアソン」。
  エドマンド・デュラック(Edmund Dulac, 1882-1953, French)

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