ギリシャ神話あれこれ:オレステスの復讐(続々々々々)

 
 思いがけない奇遇に、泣いて喜ぶ三人。かくなる上は、どうやってこの地を逃れようか?
 そこで、イピゲネイアが一計を案じる。……罪人の手が触れたために、女神像が穢されてしまった。洗い清めたいので、海に行きたい。ついでに、生贄のみそぎもさせよう。と、タウロイのトアス王をまんまと欺き、女神像を捧げ、オレステスらを伴って、海岸へと向かう。岩陰に隠してあった舟に乗り、首尾よく脱出!

 が、折からの逆風で、舟は進まない。手間取るのに不審を抱いた王が、様子をうかがわせたところ、逃亡発覚。手勢を引き連れた王が、追いかけてくる。
 万事休すと思いきや、アテナ神が現われて、王を諭す。やむを得ん、王は兵を引き、三人は無事、ミュケナイへと帰還する。

 別伝では、三人が首尾よく脱出の後、逃亡の帰途に立ち寄った島で、オレステスらはクリュセスと邂逅する。

 クリュセスは、トロイア戦争のさなか、ギリシア軍の捕虜となった娘クリュセイスが生んだ子。クリュセイスは、アガメムノン王にあてがわれたのだが、アポロン神殿の神官だった父により、身代と引き換えに解放される。
 父のもとに返されたとき、クリュセイスは、手の早いアガメムノンによってすでに身籠っていた。この生まれた子が、クリュセス。つまり、クリュセスはオレステスの異母弟というわけ。

 アポロンの子として育てられたクリュセスだったが、オレステスらが逃げ延びてきたとき、母から出自を打ち明けられる。で、この異母兄弟は一致協力、追ってきたトアス王を返り討ちにし、ともにミュケナイへと帰還したという。
 
 画像は、フォイエルバッハ「タウリスのイピゲネイア」。
  アンゼルム・フォイエルバッハ(Anselm Feuerbach, 1829-1880, German)

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