東尋坊(続々)

 
 遊歩道をちょっと行っただけで、再び、人っ子一人いない貸し切り状態。また、のびのび歩ける。海辺の面白いのは、次々と景観を変えてくれるところ。
 東尋坊から雄島までは入り江のようになっていて、岸壁のところどころに海食洞が見える。これらの洞窟は、海鳥が巣として利用するらしい。設置してあった望遠鏡で覗いてみたけれど、海鳥たちには一羽もお眼にかかれず終いだった。

 さらに歩いて雄島に着いた。神聖な島の例に洩れず、朱塗りの大橋が架かっている。橋を渡り切ると、これまた例に洩れずに鳥居がある。
 鳥居をくぐって石段を登り、島を一周。さっきの東尋坊の岩柱とはちょっと趣を異にした、一斉に斜めにピンと突出した、ゴジラの背びれのような流紋岩。
 そこで、にーちゃんたちが服を脱ぎ捨てて泳いでいる。元気だねえ。……私はと言えば、もうはしゃぐ気も起こらない。足がだんだん棒になってきたみたい。島をぐるりと周り終えて、石段を降りる頃には、足がずんと重くて動かない。

 大橋から、はるか彼方の東尋坊を見晴るかす。あー、これがもし鳥だったら、海の上を5分もかからず東尋坊まで飛んでいけるのになー。 
 いい加減足が棒なので、帰りの道はちょっとズルして、車道も利用した。車がいかに真っ直ぐな道を行くのか、よく分かる。えらく早く、東尋坊まで帰ってきた。

 夕方近いので、さっきよりも随分人が減っている。今度こそ断崖絶壁の突端から、日本海を望んだ。
 それから岩を海のほうに下りてみる。安山岩の五、六角形の岩柱は、天然の階段のようで上り下りしやすい。海のそばに立ち、断崖を見上げた。うん、確かに奇勝名勝の東尋坊。

 海に近いと、波の砕ける音が大きく聞こえる。波の音がうるさくて、人のがやがや声はほとんど耳に入らない。で、人塊から離れて、海のそばで、手頃な岩を椅子代わりにスケッチした。ほとんど時間がなくて、彩色はできなかった。

 画像は、東尋坊、福良の海侵洞。

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