気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

犬枇杷 栗木京子

2005-03-17 22:03:47 | つれづれ
入院は六日で済みぬ携へ来し桐野夏生は上巻のまま

部屋で吹くハーモニカこそさびしけれ体力は呼気、気力は吸気

秋は肺、冬には腎の弱るゆゑ白粥すする紫蘇の実そへて

むらさきの実は犬枇杷か掌の窪にゆるくころがすころがして癒ゆ

罅入りしゆゑにゆたかに内側の闇そだてをり早春の壺

(栗木京子 歌壇4月号)

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栗木さん、何かの事情で入院されていたようだ。
「体力は呼気、気力は吸気」「秋は肺、冬には腎の」といった言葉の対照がうまいなあと思った。罅入りし・・・の歌、とても気に入った。