早朝のひかり差し込む部屋内に晩年といふゆたかさにゐる
(山中重子)
暖房の部屋に籠りてはてさてとこれより地図の旅愉しまむ
(小川潤治)
名をつけしゆゑに死なせし兎かとわがかなしめり歳月すぎて
(金沢早苗)
満州に梅は咲きしか牧師館の庭に白梅けふは開きぬ
(吉浦玲子)
太郎雲次郎雲うかぶ休日の午後の海辺の道を歩めり
(大橋弘志)
立春に味噌を仕込んで眠りたり我よりふかく味噌は眠らむ
(岩下静香)
那智瀧の真上の空の芯くろく風があつまる冬のはじめに
(大谷雅彦)
ささやかな内臓ならむに精緻さのきはまりとしてむささびが飛ぶ
(三井ゆき)
あらたしと読むに驚き牛飼ひの左千夫の歌をあたらしく読む
(中地俊夫)
挽歌など見たくあらずとざらつきて籠るこころに死者は明るむ
(西勝洋一)
****************************************
短歌人4月号、同人1欄より。
飴色に切干大根たきあがる祖母のふところ日なたの匂ひ
(近藤かすみ)
(山中重子)
暖房の部屋に籠りてはてさてとこれより地図の旅愉しまむ
(小川潤治)
名をつけしゆゑに死なせし兎かとわがかなしめり歳月すぎて
(金沢早苗)
満州に梅は咲きしか牧師館の庭に白梅けふは開きぬ
(吉浦玲子)
太郎雲次郎雲うかぶ休日の午後の海辺の道を歩めり
(大橋弘志)
立春に味噌を仕込んで眠りたり我よりふかく味噌は眠らむ
(岩下静香)
那智瀧の真上の空の芯くろく風があつまる冬のはじめに
(大谷雅彦)
ささやかな内臓ならむに精緻さのきはまりとしてむささびが飛ぶ
(三井ゆき)
あらたしと読むに驚き牛飼ひの左千夫の歌をあたらしく読む
(中地俊夫)
挽歌など見たくあらずとざらつきて籠るこころに死者は明るむ
(西勝洋一)
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短歌人4月号、同人1欄より。
飴色に切干大根たきあがる祖母のふところ日なたの匂ひ
(近藤かすみ)