大いなる西瓜のごとき仙人掌の内にこもりてゐたき日のあり
(古川アヤ子)
窓外の小雨の森をながめつつ電子辞書にて探す雨の名
(庭野摩里)
左目の視力のややにおとろえて梅雨の晴れ間の静かならざり
(佐藤慶子)
少し低めザ・ピーナッツのハーモニー心の巷にいまも響かふ
(榊原敦子)
水無月の夜のはじめにふうはりと言葉は生れてさびしき近江
(大谷雅彦)
おもむろに傘を開きて懐かしい映画のように立ち去りし人
(高野裕子)
長き不在の家の庭隅いま見しは背をかがめたるコロボックルか
(染宮千鶴子)
月草とつばめを見ないこのごろと思ひてねむる節電の夜を
(渡英子)
隠元の筋むくときもありありときみなきことは思はれて来ぬ
(小池光)
侘しさがマントの裾にまといつく旭川駅啄木の像
(諏訪部仁)
*********************************
短歌人9月号、同人1欄より。
(古川アヤ子)
窓外の小雨の森をながめつつ電子辞書にて探す雨の名
(庭野摩里)
左目の視力のややにおとろえて梅雨の晴れ間の静かならざり
(佐藤慶子)
少し低めザ・ピーナッツのハーモニー心の巷にいまも響かふ
(榊原敦子)
水無月の夜のはじめにふうはりと言葉は生れてさびしき近江
(大谷雅彦)
おもむろに傘を開きて懐かしい映画のように立ち去りし人
(高野裕子)
長き不在の家の庭隅いま見しは背をかがめたるコロボックルか
(染宮千鶴子)
月草とつばめを見ないこのごろと思ひてねむる節電の夜を
(渡英子)
隠元の筋むくときもありありときみなきことは思はれて来ぬ
(小池光)
侘しさがマントの裾にまといつく旭川駅啄木の像
(諏訪部仁)
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短歌人9月号、同人1欄より。