気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

薔薇の芽いくつ 大地たかこ 本阿弥書店

2022-12-04 09:24:58 | つれづれ
いつ咲いていつまでとなく花八つ手こんな咲き方いいなと思ふ

薔薇の芽はどんな色にもなれる赤 小さきひとに写メールしたり

ひなあられ紙にくるめば色透きぬ白とふ色もはつかに透きて

「魚ん棚市場」に父と入りゆけばでつかい蛸が函より這ひ来

本堂の額の文字(もんじ)はくづし字で愛かと問へば亀といはるる

やはらかき枇杷の芽生(めお)ひのいつつむつありて一つを堀り起こすなり

棒切れの好きな男(を)の子が森をゆく木橋に来たら流すよ、きつと

桜ちる 春の夕べのあかるさに雲梯する子ぶらんこする子

冬の日の傾くなかを黄金蜘蛛おのれの渡した糸の真中に

わたくしが声をかければ小鳥屋の小鳥ははてなと首を傾げる

(大地たかこ 薔薇の芽いくつ 本阿弥書店)

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塔短歌会の大地たかこの第三歌集。大地さんは子供好き、植物、虫好きである。いつもやさしい眼差しで見て、やわらかく歌にする。のびのびとした温もりがある。人の言葉を拾いあげた歌も面白い。旧かなとの取り合わせがちょっと奇妙な味を出すのが彼女流だろう。河野裕子の世界を思わせる。

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