気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

春の一筆箋 現代短歌新聞 2月号

2016-02-01 00:24:49 | 総合誌掲載
さみどりの双葉あふひのお守りをふたたびいただく糺の森に

紙に筆、商ふ店は戸のそとに春の一筆箋を並べる

  近藤かすみ(短歌人)

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現代歌人特集に「春の一筆箋」5首を載せていただきました。
京都の日常の風景です。

http://gendaitankasha.com/

府立図書館 (現代短歌11月号)

2013-12-24 09:58:49 | 総合誌掲載
おはやうと軽く声かける人をらず猫をらずネコジャラシ揺れてゐる

 
並びたるケヤキ背にして二宮尊徳(そんとく)の胸像の佇つ府立図書館

ひと文字のために二行となる歌をかなしみ読めり二行目の「り」を

いくつもの孤独寄りきて本ひらく閲覧室にひぐらしの声

類語辞典に「昇天」引けば液晶の面にさまざまな死が現れる

廃駅と書き疒(やまひだれ)でなきことにはつか安らぐ インクはブルー

しかすがに衰へしるきサルスベリうするる紅をいとしみて見つ

(近藤かすみ 現代短歌11月号 特集・六十歳の歌人)

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私が生まれた昭和二八年は、テレビ放送が始まった年。新し物好きの父は14インチを早々と買った。母の縫った別珍のカバーが掛けられたり、目を護るための樹脂カバーが取り付けられたりした。ひょっこりひょうたん島、時間ですよ、ナポレオン・ソロなど、見たい番組に合わせて暮らしていた気がする。新日本紀行というのもあった。あのテーマ音楽が怖くて、蒲団に潜り込んだものだ。同年の女優さんに、竹下景子、仁科亜希子がいる