気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

家 河野裕子歌集

2005-03-03 23:41:27 | つれづれ
コスモスの花が明るく咲きめぐり私が居らねば誰も居ぬ家

こまやかに黄のかたばみが咲きてをりあなたに多く借りのあるこの世

限りなく花火の揚る明るさのもののはづみに死ぬなり人は

鞍馬まで支線はもう無し水雪(みづゆき)のわが駅発ちゆく叡山電車

じやがいもを買ひにゆかねばと買ひに出る この必然が男には分からぬ

(河野裕子 家 短歌研究社)

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第八歌集。全身歌人にして全身母親の裕子さん子別れの歌。
読んでいてこちらもしんみりした気持ちになる。