気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

ね。と結び空気をすこし落ちつける罫紙の白は冬のはじまり

鱧と水仙 48号

2017-02-27 14:45:25 | 鱧と水仙
梢よりふる影のなか胡桃の実ころがつてゐる昼のテーブル

ひさかたの雲井通に行きしより日照雨のごとき貴方となりぬ

(近藤かすみ 雲井通)

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鱧と水仙48号がでました。
連作14首「雲井通」、特集「生誕150年子規のうた、発見」にエッセイを載せています。

短歌人2月号 同人のうた その3

2017-02-22 18:22:38 | 短歌人同人のうた
沸騰の湯に没りてゆく美(うま)し世の法蓮草はみどりなりけり
(柘植周子)

初雪の降りたる午後に『いとしきもの』田村よしてる遺歌集届く
(室井忠雄)

冬となる濃き青空が映りおり机の上の雲形定規
(守谷茂泰)

裏木戸より椿へわたるくちなはのつやつやとして神無月あり
(曽根篤子)

いつせいに空へ飛びたつ野の鳩の風切羽よ冬ふかむ日に
(金沢早苗)

ひと夏を独り占めせるポスターに水着の美波里の厚きくちびる
(池田裕美子)

ベルトより束なす鍵を垂らしたるマッチョをりたりサーカス小屋に
(三井ゆき)

両の手に大根さげて来し人に大根もらひぬ視線が合ひて
(中地俊夫)

ねむりより覚めたるわれはエヂプトのスフィンクスのこと少し思へり
(小池光)

この冬の一番の寒さという夜なり一箇を届けにアマゾン・ドット・コム
(川田由布子)

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短歌人2月号、同人1欄より。

格別に大きな月の出るといふ夜を待ちつつタオルたたみぬ
(近藤かすみ)

雪の降るまで 現代短歌3月号

2017-02-13 23:35:11 | 総合誌掲載
杉織りのコート似合ひし壮年の父にしたがふ雪の降るまで
(近藤かすみ)


2月14日発売の「現代短歌 3月号」に七首を載せていただきました。
ひさしぶりの総合誌掲載です。




短歌人2月号 同人のうた その2

2017-02-08 12:40:38 | 短歌人同人のうた
宅配の手荷物かかへ門灯へ小走りにゆく男半袖
(紺野裕子)

冬の匂い香ばしく顔にまつわりて息すればつくづくと冬なり
(内山晶太)

まろやかなお地蔵さんのあたま撫ぜ純なるなみだ湧くときのあり
(斎藤典子)

いひたらざりしかと悔ゆれどもいひすぎて臍(ほぞ)かむよりはよからむ 寝ねむ
(蒔田さくら子)

飴玉を嚙まずにいられないと言う破片に満ちているだろう口
(谷村はるか)

「短歌人」に冨樫由美子の名がありてけふの日暮のビール楽しむ
(高田流子)

ネットなんか無視すればいいと言いくるる口調迷いなき柏木進二
(宮田長洋)

わが街に唯一のシネマ館ポポロ座のとなりの席にあなたはゐない
(山下冨士穂)

甲冑に身をよろひたる地蔵たち暗がりに佇つひたすらなりき
(長谷川莞爾)

天金の鈍く光れる円本の正岡子規集おりおりに読む
(おのでらゆきお)

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短歌人2月号、同人1欄より。


短歌人2月号 同人のうた

2017-02-03 15:59:14 | 短歌人同人のうた
ラ・フランス一気に熟し香りたる今夜もしづか消灯ののち
(阿部久美)

三河屋のチラシの裏にわが書きし「かたたたきけん」母の文箱に
(有沢螢)

小粒なる渋柿あまた実らせて大笑いする柿の木があり
(関谷啓子)

黄の色にほのぼの咲けり石蕗(つわ)のはな誰も知らざる木の下陰に
(小林登美子)

年取つたねえと鏡の女にいふときに鏡の女はすこし怒りぬ
(西村美佐子)

トランプ氏を勝たせしちから解せぬまま読みをり『今昔物語集』
(洞口千恵)

現代短歌の主要テーマは孤独だと聴きて戻りぬひとりの部屋に
(八木明子)

淡からぬ濃からぬ鴇のかざきりのあけはふさはし老いづくわれに
(佐々木通代)

蓮根のむなしき穴を嘆きつつ目の手術日の前日となる
(青輝翼)

拭かぬ硝子戸がいつまでも綺麗であるやうに 一日の終りにわが祈ること
(酒井佑子)

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短歌人2月号、同人1欄より。