気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

モーツァルトの電話帳 永井陽子

2005-03-10 21:04:47 | つれづれ
ゆふさりのひかりのやうな電話帳たづさへ来たりモーツァルトは

生まれくる風やはらかい2Bの芽が出はじめるえんぴつ畑

十人を殺せば深まるみどり百人殺せばしたたるみどり安土のみどり

ちちと鳴きあはれ狂へる色彩に呑み込まれゆくゴッホのひばり

ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり

東洋のれんげあかりのゆふぐれにモーツァルトは疲れてゐたり

(永井陽子 モーツァルトの電話帳)

*********************************

言うまでもないがこの歌集は、五十音順の電話帳のような構成になっている。
永井さんのお部屋に電話したら、留守番電話で声が聞けるような気になる。
一度も会わなかった永井さんだが。