気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

テクネー 香川ヒサ

2005-03-11 22:00:14 | つれづれ
こもごもに語りあひつつ言の葉はあるいは異の刃 切り口が違ふ

角砂糖ガラスの壜に詰めゆくにいかに詰めても隙間が残る

かさはさか きゆはあはゆき くさはさく 循環バスは渋滞の中

刃物研人(とぎ)団地に来たり 女らは砂場に子供遊ばせてゐる

千日手さす夫と子に駒ひとつ通りすがりに動かしてやる

(香川ヒサ テクネー)

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近ごろ香川ヒサの歌集を読んでいるが、このテクネーが第一歌集。
このころの歌には家族が登場し、ヒサさんもちゃんと主婦をしているようなのである。
四首目、茂吉の「めん雞ら砂あび居たれひつそりと剃刀研人は過ぎ行きにけり」に通じる歌として読む。