気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

BS短歌スペシャル復習編

2007-05-01 23:33:06 | NHKBS短歌スペシャル
木となりてケイタイ画面見つめいるわが年齢(とし)格好のおとこの孤独
(小高賢)

くすの樹の肌にながるる千年のゆふやみに溶けて聴く青嵐
(日置俊次)

大楠は薄暮インコの木となりて天然色の眠り実らす
(谷岡亜紀)

仰ぎゐてせつなかりけりもののふの由縁(ゆかり)の樟に若葉噴きあぐ
(秋山佐和子)

葱の花咲けば父母思はるる母を遺して死にゆきし父
(河野裕子)

会はぬと決めて会はざる日々にハナミズキ若き名もなき木に替はりたり
(澤村斉美)

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先日のNHKBS短歌スペシャルのプロの歌人の歌会の自由詠。
それぞれが前もって用意した自信作なのだろう。
目立つ言葉を使ってもそれが浮かない工夫がなされていたり、あざとくキャッチーな言葉で押してみたり、ああでもない、こうでもないと推敲に推敲を重ねているのがわかる。この日は、神戸市の相楽園という庭園の和室で歌会があったので、木を歌った作品が多かった。ここでは、澤村斉美さんの作品が最高得点だった。

身近なところでは、久保寛容さんのところのとうげ歌会第15回が無事終了。
こちらは、半月に一回のペースで進む。


NHKBS短歌

2007-04-30 00:49:48 | NHKBS短歌スペシャル
戦友のねむるみなみの青海原父の遺灰をはつか撒き来ぬ
(秋山佐和子)

一生を遊ぶと決めて見ていたり青き亀浮くはつなつの水
(谷岡亜紀)

補助輪をはずす自転車いまだ青き生きる速度もひとつあがりぬ
(小高賢)

みづあかり障子を青く揺さぶりてゆさぶりてつひに日永ひらかず
(日置俊次)

背に青を載せつつ沈みゆく亀の一瞥われを水辺に佇たす
(澤村斉美)

青空の遠い所に窓ひとつ開かれてありしづかに光る
(河野裕子)

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きのうはNHKBS短歌スペシャルの日だった。午前11時から午後4時まで、途中すこしの休憩をはさんで、延々5時間つきあってしまった。
お題は「青い」「窓」で、プロの歌人の歌会あり、視聴者のFAXでの投稿ありと、みっちり短歌に付き合う時間を持てた。選者は岡井隆、安永蕗子、尾崎左永子、穂村弘、高橋睦郎の各氏。わたしもFAXで投稿して、穂村弘氏に批評をいただいたが、50選には残ることが出来なかった。歌を取り上げられた人たちには、知った名前が多く、みんなやってるなあ・・・と思う。顔を知らないけれど、おなじみなのだ。
プロの歌会は、さすがに秀歌が出された。自由詠での歌会もあったが、それは後日アップする予定。


BS短歌スペシャル

2006-10-21 23:49:56 | NHKBS短歌スペシャル
哀しいと泣けぬ女にそだてたる母よいつより澄める青空
(青山みのり)

人生はひと色ならず亡き母のオパールの指輪秋の陽にかざす
(近藤かすみ)

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きょうはNHKBSの列島縦断短歌スペシャルの日。
ちょうど都合がついたので、午前11時から午後4時まで、しっかりテレビを見る。
お題は「澄む」「色」。途中、佐賀県での歌会もあり、五時間の長丁場だった。

安永蕗子氏の十選に青山みのりさんの歌があった。つづいて、尾崎左永子氏の十選にわたしも選ばれて、うれしかった。
並べて書いてみると、どちらも母親への思いを詠んでいる。青山さんのお母さまはご存命なのだろうか。
ほかにも、短歌人会の荒木美保さんや、朝日歌壇で覚えのあるお名前をいくつか見かけた。
ことしも命日(十月三日)に墓参りに行きそこねたが、これで供養の代用にしようというのは身勝手なことだ。
母はあの世で苦笑いしているだろう。

BS列島縦断短歌スペシャル

2005-05-11 22:24:06 | NHKBS短歌スペシャル
親友が風邪で休んだ教室は青が見えない海に似ている
(長崎県 森琴樹)

義理チョコより友チョコだってさこれからは女がおんなにやさしくする世
(近藤かすみ)

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NHKBS列島縦断短歌スペシャル。
今日は時間の都合がついたので、じっくりと見る。
お題は「友」「生む」だった。「友」は題詠マラソンで作ったところだったのを、ちょっと変えて早速ファックスを送る。尾崎左永子氏に取り上げてもらう。いい気分。
途中、昼食をとりつつ、宇治川の歌会、ほかの方の作品をじっくり見る。
最後の50選では、穂村弘氏に選んでもらう。やった~~~!
穂村弘の特選は、十歳の森さんの歌だった。
電話でどきどきしているのがわかって、初々しく私までうれしくなった。


NHKBS宇治歌会 自由詠

2005-04-25 00:39:27 | NHKBS短歌スペシャル
歯型にて本人確認するといふ歯はさびしくてそを磨きをり
(大口玲子)
会はぬ人はおもかげ若し間遠なる蛇口の下の水滴のおと
(高野公彦)
朝の雨のひかりの雫こぼしをへ泣き足らひたる椿はしづか
(渡英子)
行く先を知らずうしろを振り向かず川こそ真の旅人である
(大松達知)
丸顔の老若男女絵巻にて想いもろとも永遠に平たし
(東直子)
電柱にランプの垂れる春の夜のおとなしそうな道に入りゆく
(吉川宏志)

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23日のNHKBS宇治歌会の自由詠。
当たり前だが、短歌は俳句よりながい。その分、上句から下句へ微妙な「ずらし」で詩を広げていけると思う。
会はぬ人は…の歌、三句目の「間遠なる」をはさんでうまくずれていっている。歯型にて…の歌、「そを」でリズムを取っている。
私が一番すきなのは、朝の雨の歌。椿は泣き足りるほど泣いたから静かなのかと納得させられる。

短歌スペシャル宇治歌会

2005-04-24 00:57:55 | NHKBS短歌スペシャル
錆ふかき自転車を置く水のほとりゆうぐるるまで待つひとわれは
(渡英子)
くちびるがうすく色づき動きだす記憶が戻るまでを待つ間に
(東直子)
たまさかに恋に飛びこむ女いて口あけて待つ水の濃緑(こみどり)
(大口玲子)
来世紀と来世はとても似ていたりいずれを待つや阿弥陀如来像
(大松達知)
もののふの宇治の川舟橋姫の訪ないを待つほどの揺らめき
(高野公彦)
書店にて人を待ちつつ白き本に巻かれし帯のゆがみを直す
(吉川宏志)

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NHKBS短歌スペシャルのプロの歌人さんによる歌会での作品。
席題「待つ」は高橋睦朗氏の出題。、かな使いは作者を伏せる意味もあって今回のみ、新かなにするというルールだった。題を与えられて、一時間ほどで作られた作品。さすが。