気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人4月号 同人のうた その2

2016-04-11 00:38:43 | 短歌人同人のうた
悲しくて読めずなりたる『思川の岸辺』を閉じて窓辺に呆たり
(宮田長洋)

軍隊を持たぬ国などありませぬ 露西亜語教師薄くわらひき
(加藤満智子)

師をおもふこといつも夜半わたくしがわたくしに引きこもるゆたかさの
(菊池孝彦)

如月朔の空のかなたの北帰行始まりしといふ鶴おもひみつ
(蒔田さくら子)

一輛に乗客はわれひとりのみ下野(しもつけ)春の小金井すぎて
(小池光)

川風がうなじに触れて通り過ぐ木母寺に飲む「い・ろ・は・す」美味し
(斎藤典子)

みづの辺に紅梅の花ひらきそめ自転車止めてあふぐ数(す)分を
(渡英子)

高英男の「雪の降る街を」流れくるラジオの前の姉妹でありき
(高田流子)

川本さんの言葉を思い出している「リアルとリアリティは違うんですよ」
(猪幸絵)

さざなみのしがのみずうみ寒ざむの月照る景を独りに観るも
(おのでらゆきお)

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短歌人4月号、同人1欄より。




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2 コメント

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Unknown (teruo)
2016-04-13 00:37:30
川本さんの言葉を思い出している「リアルとリアリティは違うんですよ」(猪幸絵)

そういえば、「事実はない。あるのは解釈だけ」と朝日新聞「折々のことば」にありました。
あっても、「私は…」と書いたとたん、事実からはそれている。それで救われてもいる。
ひとり言ですから、コメントにはおよびません。
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Unknown (かすみ)
2016-04-13 10:10:37
川本浩美さんは、三年前に亡くなられました。短歌人関西歌会にとって大きな存在だったので、忘れることができません。折に触れて川本さんの言葉を反芻するのです。
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