団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

ツバメ

2023年06月02日 | Weblog

  台風2号が接近してきている。今朝起きると、窓に雨の滴がついていた。雨、となれば、あぁ、今日は散歩できないな、とまず思う。雨の日は、家の中でウォーキングマシンを使う。室内なので景色が変わらない。天井、壁、床しか見えない。マシンは、体を乗せているベルトがただ回っているだけのもの。閉塞感に包まれる。ディープブレスをするが、外気のさえぎるものがない開放的な安心できる空気には程遠い。

 天気が良い日の散歩は、楽しい。今の季節、花、鳥、昆虫と見るものがたくさんある。香も音も楽しめる。このところツバメに興味を持っている。あちこちの家の軒先には、ヒナがたくさんいる。親鳥は、せっせとヒナに餌を運んでくる。私は、あるビルにたくさんのツバメの巣がある所を観察場所に決めている。ツバメ、特にヒナを育てている時は、警戒心が強い。私が、巣のそばに近寄ると、親たちは、決して飛来してこない。巣が見える電線などにとまって、様子をうかがっている。

 私は、ツバメの飛び方が好きだ。急降下、低空飛行、急転回。スズメやカラスや鳩とは、全く違う。ツバメの敏捷さにあやかりたかったのだろう、昔、国鉄には、“つばめ”を冠した特急列車があった。剣をツバメの飛び方のように、操る“ツバメ返し”という剣法もあったという。

  ツバメの飛び方を眺めて、巣から離れた場所で、観察する。そして最後に、親には申し訳ないが、数分間、巣の真下からヒナの様子を観察させてもらう。ヒナが元気に育っているのを確認できると離れる。散歩を続ける。多くの場所でツバメの巣を見かける。日本では、家にツバメが巣をつくると縁起が良いといわれているそうだ。ツバメは、カラスなどの外敵から身を守るために、人の出入りが多い商店などに巣をつくる。つまりツバメが巣をつくる店は、繁盛店ということになる。農家では、ツバメが害虫を捕ってくれるので、農作物が豊作になると伝えられてきたという。散歩の途中の何軒もの家で、ツバメのフンをよける新聞紙やビニールを地面に置いてあるのを見た。ある家では、貼り紙に「ツバメの落とし物にお気を付けください」と書いてあった。ほっこらする。迷惑がらずに、かえって保護してあげている。

  家に帰って、ネットでいったい日本に毎年どのくらいの数のツバメが飛来するのか調べた。数は、分からなかった。それもそうだろう。数を推測することはできても、実数を計る術はない。ただ飛来数は、減少していると報告されている。原因は、巣づくりに適した家屋の減少や環境変化による餌になる虫が減っていることらしい。

  巣を観察する。粒状の土を巧みに積み上げてある。本能といえ、このような技術を持っていること自体驚くべきことだ。一日中、ヒナのために一心に餌を捕獲しては、巣に運ぶ。ツバメは、ヒナを虐待しない。人間とは違う。この台風で、餌取りも大変であろう。台風が通り過ぎたら、すぐにでもヒナが無事か確認しに行きたい。


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