高島明彦著『アルツハイマー病は今すぐ予防しなさい』(産経新聞出版 1400円+税)を読んだ。私は本に書かれていた「本人が気づく『10の症例』」を早速検証してみた。
1.新聞の内容が頭に入らない。
これはあまり意識していないが、気になるニュースや論説があれば、妻に話したいと思うし、その日のうちにその目的は果たしていることが多いので、合格。
2.昨日観た映画の内容が思い出せない。
脚本に興味があるので、映画を観るとその構成を観た後メモするので内容を把握できている。合格。
3.読んだ本の内容を忘れる
子供の頃から暗記力はからきしダメだった。読む本の数は多いが、映画のように画像で見たことの記憶ができても、文字文章から理解分析しての記憶能力は劣っている。特に要約ができない。内容をしっかり忘れるので、同じ本を何度でも読めるのは嬉しい。不合格。
4.電話の相手の名前を忘れる
電話がかかってくることは一週間に数回であり、かかってくる相手もほとんど同じなのでまだ大丈夫だと思う。合格。
5.「あれ、これ、それ」を連発する
もう自分でもあきれるくらい毎日の当たり前になっている。時々自分さえ分らないで「ここはどこ、私はだあれ」と思う瞬間がある。不合格。
6.言葉が出てこない
客を迎え楽しく話している最中、どれほどの回数、妻の“横ヤリ”介入で出かかった言葉を先に言われ、悔しい思いをしていることか。あと0.1秒早く出ればと思うのだが。不合格。
7.物を置き忘れる。
頻繁ではないが、メガネ、携帯電話がどこか探すことは月に数回ある。ただ妻が整理整頓好きで私の物も勝手に片付けてしまうので、置き忘れるというよりは、隠されているという被害妄想を持つ。ドイツ人男性学者が書いた本から学んで「歳をとったら、何でも首からぶら下げておく」を実践するようになってから改善している。合格。
8.仕事の約束を忘れる
仕事をしていないプー太郎なので約束は年に数回しかない。カレンダーに朱書きで大きくメモしている。それでも数年に一回のわりで大ポカをして約束をすっぽかすことはある。合格。
9.新しいことを憶えられない
学生の時から公式、定義、年号など暗記モノはすべて苦手。脳のその機能が欠落しているとしか思えないほど劣っている。生まれた時からボケていた。不合格。
10. チケット、本の二重買い
チケットを買うことがないから二重買いのしようがない。本が問題だ。一年に数冊二重買いをする。二重買いを知ると、気分の落ち込みから回復するのに数日かかってしまう。合格。
以上10点満点の6点である。老化現象とかアルツハイマー発症の前兆というより、私に生まれてからずっと変わらず備わっていた天性であろう。幼い頃からずっとなじんできたので、この先、前兆が悪化しても、私はそれを受け入れ、なじむことができそうに思う。老いてきて、自分の劣等感がやっと和らぎ始めてきた。若い時は自分が他人より劣っていると悲しんだが、過去と現在の能力格差が小さいのもいいものだ。アルツハイマーの可能性は誰にでもある。避けて通れないなら、受け入れるしかない。
ナンシー関が森繁久弥について書いていた。「重鎮らしい所作とボケの所作は重なる。①他人を意に介さない②自分のペースを崩さない③他人の言うことをきかない④質問されても、そういちいちはこたえない⑤でも急に思ったことを言う⑥ゆっくりとしか動かない」
私もきっと自分では気がついていないが、上記の6項目すべての域に踏み込んでいる。それでも尚、私は老いに盾つく。自分の居場所のせめて3メートル範囲内だけに集中して、自覚と自制を我が身に強いていくつもりである。目の前にいてくれる妻をいとおしみ、わざわざ私を訪ね、文書、電話、メールで連絡をとってくれる人々から頂く思い遣りを大切にしながら、これから先、私の責任が及ぶ縄張りを大切にして頑張る。