団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

孫悟空が食した不老長寿の桃:蟠桃

2017年09月26日 | Weblog

①    蟠桃

②    川中島桃

③    私が育った家の庭の桃

①    秋は果物がたくさん。日本の果物は、品種改良が進み美味しくなった。子どもの時、病気になると白桃の缶詰、バナナ、リンゴのすりおろし、くず湯を食べさせてもらえた。家の庭に桃の木があった。缶詰の白桃と違って固く甘みも薄かった。カナダの学校にいた時、家族が白桃の缶詰を送ってくれた。寮では郵便物を決まった時間に寮長の事務所の片隅にある窓口へ受け取りに行く。40人くらいしか寮生はいなかった。封書以外の小包は目立った。ましてや遠い日本からの小包だと寮生の関心好奇心の集中砲火を浴びる。私の部屋は寮生でいっぱいになり、私が小包を開けるのを見守った。白桃の缶詰に視線が集まった。誰かが「白い桃!」と叫んだ。カナダでは桃は黄桃しかなかった。「日本人は黄色人種なのに、桃は白いんだ」と訳の分からない今なら問題発言になりかねない発言もあった。

 桃が好き。でも私は桃の皮に触れられない。触るとサブサブエボが出る。さいわいなことに妻は桃の皮が平気。剥いてもらっている。

 1991年から3年間暮らしたネパールには、私が育った家の庭にあったような原種に近い桃が市場で売られていた。小粒で固く甘みは薄い。懐かしくて買って食べたが、2度目の購入はなかった。アフリカのセネガルにはリンゴも桃もなかった。旧ユーゴスラビアは果物がたくさんあった。ある日市場でヘンテコな形の果物を見つけた。図鑑で調べると“蟠桃”だとわかった。中国原産で普通の桃を上から押して潰したような扁平な形をしている。味も悪くない。おそらくシルクロードを経てヨーロッパに伝わったのだろう。

 日本に帰国して調べたが蟠桃は出荷量が少なく入手は困難だった。今年ネットで山形県で通信販売していることを見つけた。早速購入した。さすが日本の農家は、品種改良して美味しい蟠桃を作っていた。

②    私は固い桃が好き。わざわざ固い桃を川中島の農家に注文する。以前何でも言い合える友人に長野県から川中島桃を送った。令状に「せっかく桃送ってもらいましたが、まだ若くとても固くて残念でした」と書いてきた。私が固い桃が好きでも、柔らかな桃が好きな人もいる。

③    私が子どもの頃、食べ物が不足していた。私の家の庭は、たくさん果物の木が植えてあった。中でも桃が好きな私は、桃が熟すのを今か今かと待ちわびた。桃を好きなのは、私だけではなかった。鳥も虫も狙っていた。競争が激しければ、獲得した時の喜びは格別である。たった数個残った食べ頃の桃を家族6人で分け合って食べた。旨かった。

 台風、冷夏、長雨、日照不足など人間の力ではどうすることもできないことをかいくぐり、出荷された果物が店頭に並ぶ。農家の人たちの苦労を思う。果物の消費量が上がらないという。多くの若者は、果物を食べるのが面倒くさいというそうだ。皮をナイフで剥いてまで食べる気がしない、値段が高いが原因らしい。コンビニ世代らしい意見である。安倍政権は学校無償化に消費税を使うことを国民に問うために解散総選挙を行うそうだ。無償化なんていう、できもしない大きなことをぶち上げるより、給食を無償にするぐらいで良いのではないか。学校が農園を持って自給自足するのもいい。私が留学したカナダの学校は、2400人の生徒スタッフが自給自足を実践していた。できない話ではないと私は断言できる。日本には、農家がコツコツと面倒な作業を続けて育てる美味しい果物があるけれど、10年先20年先を見据えて、コツコツと小さな政策を積み上げて実を結ばせる賢く粘り強い有言実行できる政府がない。大風呂敷も大言壮語も面倒くさい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 授業参観日 | トップ | 老いぼれ 抗加齢 アンチエ... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事