団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

金喰い虫

2020年08月05日 | Weblog

  日頃私が経験した金喰い虫だと思うことが二つある。一つは広告代。もう一つは、自家用車を持つこと。

 6月24日ラジオやテレビででうるさいと思うほど「過払い金」「過払い金」と連呼していた東京ミネルヴァ法律事務所が倒産した。負債は51億円。破産の原因は、弁護士法人を実質的に支配していた広告会社による金の流用だという。過度な宣伝費も一因だったのだ。そこで私は合点できた。とにかくラジオやテレビ、特にラジオの消費者金融の過払い金と国の予防接種時の注射器の使いまわしが原因のB型肝炎の補償金請求代行の宣伝は、耳障り。私はなぜ法律事務所も司法書士事務所もあれだけ宣伝しても経営が成り立つのか不思議に思っていた。驚いた。ミネルヴァ法律事務所の2019年3月期の売上高は、17億8400万円だという。凄い売り上げである。それだけ消費者金融で借り入れをしている人がいることにも驚いた。過払い金やB型肝炎の補償金の宣伝は、ミネルヴァだけではない。他にも多数の法律事務所や司法書士事務所が行っている。面白いと思うのは、法律事務所は「平均150万円以上」と言い、司法事務所は「平均100万円以上」と言う。調べてみたら司法書士事務所が扱える額が100万円までで、法律事務所には金額の限度がない。あれだけの宣伝をしてもどこもそれなりに利益を上げていると言うことらしい。ただ司法書士事務所の宣伝で「法務大臣認定」と「司法書士の私でも…」の文言には嫌悪感を持つ。私もまだ事業をしていた頃、新聞の折り込みチラシに経費をかけ失敗したことがある。終いには、印刷代と折り込み代を支払うために働いていると思うほどだった。いわゆる自転車操業におちいった。一切の宣伝を止めて、やっと正気に戻れ、事業も健全化できた。

 もう一つの金喰い虫は、車である。他の人より排気量が大きく、馬力があり、カッコイイ車に乗りたい。運転免許証を取ってからずっとそう思っていた。なかなか実現しない。車は維持費がかかる。日本には、車検という天才が考えた制度がある。保険代も馬鹿にならない。毎年の税金も結構な金額である。ガソリン代も負担になる。それでもエエカッコシイは、むきになって愚かにも車を買い替えていた。今まで車にかけた金の合計額はとんでもない額になるに違いない。それこそ家を何軒も買えたかもしれない。夢に描いていたような車に乗ることもなく、コキゾウ(古稀+3歳)になってしまった。4,5年前からバックで駐車する際、以前のように的確にハンドルを操作できなくなったと感じた。車での遠出ができなくなった。夢の車は、本当に夢となった。妻の駅への送迎と近所のスーパーへの買い物ぐらいにしか車を使わなくなった。私にとって、もう車はただの移動手段でしかない。排気量、馬力、格好関係ない。

 一時期、車をコスモのリースにした。リースは決して節約にならなかった。次にトヨタの残価設定という制度を使って3年間乗った。これも宣伝とは違って契約書の小さい字で書かれた項目が後に利用者の大きな負担になることも分かった。トヨタは今KINTOという新しい方式をやたらと宣伝している。これもきっと後で利用者には不利になる方式なのだろう。今回やはり車を買い取りで買うことに決めた。1000ccのハイブリットでない車である。販売店はあの手この手で車両価格にオプションを上乗せしようとした。私が海外で車を買った買い方とずいぶん違う。ほとんどの国で、車はまず標準価格で売られていた。日本車も海外では日本とまったく違う現地慣習に合わせた方式で売られている。標準価格とは、販売店からそのまま買った車を乗っていける車の状態だそうだ。実際私は、その経験をした。今回販売店との商談していて、これって“羊頭狗肉”商売でないのかという不信感を持った。

 私もひどい金喰い虫だった。このところの政府のコロナ対策をみていると、政府も私と変わらない常に後手後手な怪物的金喰い虫にみえる。“羊頭狗肉”的な政策ではなくて、国民をコロナの恐怖から解放できる対策を講じてほしい。何をおいてもまずワクチンと治療薬である。けっしてウガイ薬のポビドンヨードで済む問題ではない。ワクチンと治療薬の開発は、明白な金喰い虫である。しかし人類を救うことのできる光り輝く虫である。この研究開発に関する金喰い虫を強く支持する。

 

 


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