団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

いかにじっと坐って居られるか

2020年05月07日 | Weblog

  国会中継は観ていて楽しい。私は答弁には興味があまりない。カメラを通して見え隠れすること、物、人を観察する。だれだれの背広は良い仕立て。ネクタイとシャツ、抜群のセンス。妻は私の議員や官僚のファッションチェックを喜こんで聞いてくれる。あの髪、もしかしてカツラ。背広の肩にフケ。あの議員、寝てる。机の下で携帯いじってる。あっ、あくび噛み越している。マスク、小さいんじゃない。などなど。

 先日、国会の予算委員会の中継で閣僚が座る豪華な椅子に青いクッションを見つけた。私が使っているテンピュールのクッションとよく似ている。私は60歳を過ぎたころから、座っていると尻が痛くなるのでクッションを使い始めた。議員さんも高齢の人が多いので、たぶん長時間座っていると苦痛なのだろう。他の人が私と同じことをしていると何となく愉快になるのは何故なのだろうか。

 私は心臓バイパス手術を受けてから、体重が70㎏近辺を保っていた。体重÷身長÷身長のBMIの式で計算すると70㎏は私の理想体重だ。70歳を過ぎて糖尿病の薬ジャディアンスを服用するようになってから体重は66㎏近辺になった。この減量した3㎏はほとんどが尻からなくなったと思われる。とにかく自分の尻の骨が接地面に当たり痛くて座っていられない。

 パソコンの前に座る時間が多い。パソコンの前に置いてあるのは、バランスボールを椅子代わりしている。これは効果がある。パソコンの次に長い時間座るのが、漢字パズルをしている今のダイニングテーブルの椅子である。この椅子もクッションを置かないと5分と座っていられない。漢字パズルを解くどころの話ではない。パズルの次に時間を割くのは、テレビである。テレビを観る時は、脚乗せ台付のリクライニングチェアに座るが、ここでもテンピュールのクッションを置かないと長くは座っていられない。

  家から外に出ても問題が多い。ヨーロッパの老人の真似をして公園のベンチに座った。尻がすぐ痛くなって10分も座っていられない。電車に乗ってベンチシートやボックスシートに座ってもシートが硬くて苦痛。自分が運転する車の運転席のシートも純正のままだと無理。今になって長距離運転はもうできない。妻の通勤のために駅への送り迎えと買い物にしか車を使わない。運転席にはテンピュールの車用のクッションを取り付けてある。妻と年数回パックツアーに出かけるが、電車、飛行機、バスどの席も私を気持ちよく座らせてくれない。どこでも妻は座っていて「お尻が痛い」と言ったことがない。羨ましいかぎり。

  城山三郎の本の中に「高校生の息子が机の前に『椅子にいかにじっと坐って居られるかが勝負である』と貼り紙をしていた」と書いていた。これを読んだ時、私の学業成績が良くなかったのはこれが原因だったと雷に打たれたように納得した。そう私は坐って居られない生徒だった。それなのに70歳過ぎて今では毎日じっと坐っている日々が続く。これは今回の新型コロナウイルス騒動が始まる前からである。私はすでに自分で自粛生活を開始していた。

  もっと早く自分の改革に成功していれば……。いや、そう思うのはよくない。たとえ手遅れであっても、尻が痛いのを何とかテンピュールやバランスボールの助けを借りて、『いかにしてじっと坐って居られるかが勝負である』の勝負に挑めるまでになった。今日からまた5月末まで緊急事態宣言は延期された。『いかにしてじっと自宅待機できるかが勝負』である。


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