備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

窯掃除

2009-01-19 10:11:20 | 陶芸
窯掃除はやきもん屋稼業中2番目に嫌いな仕事。あれこれと理由をつけては先延ばしにしていたが、必要に迫られて…。

10月に窯焚きして以来、ほったらかしだった。山を削って窯を作ったので窯床が湿気を帯びている。灰などは湿気を吸っていて掃いても埃が立たない。衛生上、少しは良いか。「これからは窯焚き後、数ヶ月経ってからの窯掃除にしよう」とまた仕事の先延ばしの口実を発見。

窯道具として使っているレンガも掃除する。耐火レンガといえど何度も焼くと灰がつき溶着する。最終的には、チョコレートが掛かった様になるか、それまでに割れるか、割るか…となる。

初めて使ったレンガはまだ変化がおとなしい。中には緋色が発色し、自然サンギリが出たものもある。このようなモノを見ると「いいなぁ~」と思うのは、備前焼屋のサガ。

同じレンガでも緋色が出たり出なかったり、鉄粉が吹くようなものがあったり…と夾雑物の影響がある。このバラツキが、中国クオリティー。それ以前にサイズが違ったり、捻っていたり、硬度が違ったりする。流石、中国製。
まっ、気にしないけど…最低限、耐火度だけは信用させて欲しい。


耐火性といえば、建築で使われるヤキモノも多い。
古くは中国の万里の長城の『セン』。イスラムのモスクの『モザイクタイル』。ヨーロッパの『マジョリカタイル』。海を渡って、ニューヨークの摩天楼の『テラコッタ』張りの高層建築。それらが日本に入ってきて…。
火事になると石は割れるし、風化もするし…。耐火性、耐候性のみならず、造形のしやすさもメリットだっただろうし。
こう考えると「ヤキモノって凄いなぁ」と、一人暗い窯の中で、世界を鑑みる。


「大阪のテラコッタ建築を見に行ったりしたなぁ」とか、
「あの百貨店の化石は今もあるかなぁ」とか、発想が尽きない。

とにかく嫌々の仕事なので……脈絡の無いイメージの連鎖で気を紛らわせているという防衛機制。

棚板掃除もある……。
延べ、何日で終わるかな?



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