備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

子うるかと純米吟醸酒

2014-10-31 18:44:30 | 料理・食材


夏の終わり頃に頂いた『子うるか』と『日本酒』。
子うるかは頂いた時点では、粒のひとつひとつがハッキリとしていて良い香り。しかし、まだ若い気もした。甘味もやや勝っている。
「もう少し寝かそう」
冷蔵庫の一番高い段の奥に隠すように仕舞う。慎重に冷蔵庫の埋蔵物の陰に潜める様にカモフラージュを施す。
珍味を掻っ攫う悪党共(子供達)の毒牙に掛かってはいけない。用心に越したことは無い。
一方、お酒は雄町米の純米吟醸生酒。ふくよかな秋上がりに期待して抜栓せずに冷蔵庫へ。これは強奪される危険はないので安心。

かくして次の開封の儀は、柿の葉が色付く頃と定めた。特に理由は無い。けれどヅガニ(川蟹)の旬を思ったからかも知れないなぁ。


さて、秋になり朝霧が立ち込め、冷え込んだ日も続いた。紅葉の便りもチラホラと。しかし、まだウチの渋柿の葉は色付かない。他所は葉が落ちた木もあるのに。
そのうちに、魚屋さんで『川カニあります』の文字も見るようになった。

う~~ん。
しかし、柿の葉がなぁ……。しかし、ヌルデは色付き始めているし……。

しかし…しかし…の逡巡。
あれだ、「自分自身に枠を作ってはいけない」というヤツやな。自縄自縛は愚の骨頂だ。


ハイ、解禁っ!! (即決)


冷蔵庫から恭しく取り出す。

じゃーーーーん。

そして丁重にお出迎え。


神々しい輝きではないか。少し口に含んでから日本酒をチビリ。
夏よりも少しマッタリ感が増したみたい。それでいて粒粒を舌先に感じる心地良さ。おぉ、少し寝かせた方が好みだなぁ。甘味のカドも和らぎ全体の一体感が出ている。

くぅぅ~~。

これは、お酒が進むねぇ。

くぅぅ~~。


これは味を求めるものではなく香りを楽しむものだなぁ。子うるかと吟醸香がミックスされて鼻から抜ける香りこそ味わうべきものか。
「むむむっ、実体のない時にこそ真価が発揮されるのか!」(←中二病的にうかれてる)
佳肴も美酒もほんの少しづつ口に運ぶ。自然と舌上ではなく鼻腔に感覚が向くのが面白い。

しかし、調子に乗っていてはいけない。真子&白子なので尿酸値急上昇の心配もある。なのに、手が止まらない! これは実にけしからん酒肴であるな!
その後は、「けしからん」「けしからん」と独りごちて盃が重なる。

子うるかと吟醸酒は香りの楽しみ。
これが味の乗った純米酒ならどうだろうか? いやむしろ本醸造のチリッチリの熱燗なら……。そもそも酒度の違いでは……。
検証する為に次々と呑まねばならないじゃないか。実にけしからん。

明日からは満月に向かう月を見上げつつ、夜な夜な月下独酌だな。
しばらくは上弦の月と共に楽しもうか。秋草も活けて。


それにしても、嗜好品はエンゲル係数の計算に組み込んで良いものか……。関係各位の皆様に感謝しきりでございます。m(_ _)m


(え~~っ、この雨って続くん?) ……( ̄□ ̄;)!!