ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

一瞬

2021-02-16 22:35:16 | 日記
                        一瞬


                    触れるものは
                    美しい景色でなければ

                    美しい川や山や
                    野ノハナでなければ

                    美しい景色の中で
                    拳を振り上げ
                    叫び声
                    炸裂する煙の向こうで
                    緑の森が揺れている

                    そらは抜けるようなあお
                    轟音が行き交う
                    がたがたと戸が揺れる

                    揺れる
                    地が揺れる
                    ものみな落ちる
                    もう
                    見たくない
                    壊れていく景色は

                    なにごともない
                    日常が
                    美しい景色だ
                    と
                    一瞬のきらめき
                    の
                    一滴
                    の
                    水
       
                    

                    

2021-02-16 22:11:04 | 日記

                  


              擦り傷はひりひりと
              滲んだ

              ある人の傷は
              深く
              奥へ奥へ
              膿を伴って
              癒えることなく
              白い骨もえぐる
              臭気

              擦り傷は
              乾いて
              やがて固い皮膚が覆い
              あたらしいものへ再生する

              深い傷は
              ぶよぶよに
              今にも破れそう
              周囲に広がり
              壊死
              痛みの自覚もなく
              麻痺し
              大声を上げて
              傷の存在を
              訴えることもしない

              あなたの痛みがわからない
              わたしの無知を
              知ることからしか
              はじめられない

              痛みの存在をしるのは
              なんと
              哀しく
              苦しいことなのか