ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

令和のマッチ売り

2021-02-03 22:59:25 | 日記
                        令和のマッチ売り


                   もや
                   白のベールに包まれた
                   景色は
                   白だと思っていたら
                   灰色
                   かすんでいる

                   伝わってこないのだ
                   こころに響き渡る声が聞こえてこない
                   景色も
                   目に入ってこない

                   あるのは
                   ざらざらと
                   毛糸に引っかかる
                   とげの
                   板で囲われた
                   世界

                   みずみずしい
                   緑の
                   木々の
                   風にそよ吹く葉の
                   音もない

                      疑いの目でしか世界を
                      見ることが
                      できなくなってしまったから
                      あれやこれや
                      不安と恐怖ばかりで
                      盗んだり奪ったり
                      騙したり
                      嘘っぱち
                      を
                      繰り広げている
                      世界に
                      もう
                      さじを
                      投げてしまいたくなるから

                   少し夢をくださいな
                   このマッチの火がついている
                   間は

                   3分咲きの桜が揺れている間は