おずおずの魔法使い
耳を閉じて
凍ってしまったから
そのまま
身を硬くして
丸まって
穴の中に閉じこもったんだ
眼を閉じて
何も見たくなかったから
何も見ず
扁平な足で
ごつごつの庭を
おずおずと歩いて
足裏で
土を感じようと
そっと
そっと
着地した
そこは
泥地
ぬるっと
すべりそうで
こころもとない
どのように歩くのか
わからなくなってしまい
いままでなにをしてきたのか
繰り返し
巻き戻して
古いフイルムを
眺めている
それでも
それはきっと幸せなことなのかもしてない
なくしたと思っていたのに
なにもなくしてはいなくて
ただ
ほこりをかぶって
積み上げていただけで
よろけた姿勢を立て直して
もう一度歩いてみようか
生きることを怖がらず