赤土
豪雨の日
赤土の泥水が
靴の中に滲み
うつむいて
雨水が滴る
前髪の向こうを見ていた
旗が
ぬかるんだ広場に
ひるがえり
悲鳴にも似た
シュプレヒコール
時代は
音
太鼓がなる
アスファルトの広い道に
女の声が
拡声器から漏れでて
複雑に
折り重なったテントの中に
隠れた
黄金虫が
はびこって
こぎれいなブーツの中に
棲み
頭の中にまで
入り込んで
占領している
知りたくないから
そこらへんの
氾濫している
ゲームにつかり
曇った眼と
麻痺した舌で
つながれてしまった
鎖
目覚めるには
どうするのか
目覚めはあるのか
世界は
疲れ
憑かれて
小さな庭を忘れている