孤帆の遠影碧空に尽き

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フィンランド  特別なことではない34歳の女性首相誕生 一方では、反移民・人種差別的流れも

2019-12-13 23:12:32 | 欧州情勢

(【12月11日 Newsweek】34歳マリン首相(中央)が率いる新内閣 女性12人・男性7人、平均年齢47歳)

 

【「フィンランド国内ではもはや「若さ・女性」という点は珍しくありません」(駐日フィンランド大使館

先日北欧・フィンランドで34歳の女性首相が誕生したということで話題にもなりました。

 

*****フィンランド首相にサンナ・マリン氏、34歳 同国史上最年少****

フィンランドの社会民主党は8日、先週辞任したアンティ・リンネ前首相の後任を決める投票を行い、元運輸・通信相のサンナ・マリン氏が当選した。同国史上で最年少の首相となる。

 

リンネ氏は3日、郵政改革案を受けて繰り広げられた大規模なストライキへの対応をめぐり、連立与党の中央党から不信任を突きつけられ辞任した。

 

わずかな差で勝利したマリン氏は8日夜、報道陣から年齢に関する質問を受け、「信頼を取り戻すためにすることが山ほどある」とし、「自分の年齢や性別について考えたことはない。私が政界入りした理由と、私たちが有権者の信頼を勝ち取った事柄について考えている」と述べた。

 

マリン氏はまた、ウクライナのオレクシー・ホンチャルク首相を抜き、世界最年少の国家指導者となった。 【12月9日 AFP】

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日本的感覚では“34歳の女性首相”というのは驚きですが、地元フィンランドでは、あくまでも実力・才能ある人たまたま34歳の彼女だったということであり、特別のことではないという認識のようです。

 

内閣全体についても“女性12人・男性7人、平均年齢47歳”ということで、日本に比べると・・・・比べたくもないですね。

 

そもそも、連立を組む4党はいずれも女性党首ということですから・・・・。

 

****フィンランドで「世界最年少34歳の女性首相」が誕生…それでも“若さ”と“女性”が注目されないワケ****

(中略)フィンランドでは3人目の女性首相ということだが、現職で世界最年少の首相となったのだ。

そして、女性12人・男性7人、平均年齢47歳という新内閣が発足。

 

このニュースにSNSでは「素晴らしいですね」「日本ではなかなか考えられない事だなあ」という反応が続々寄せられているが、駐日フィンランド大使館の公式Twitterアカウント(@FinEmbTokyo)からは「女性大臣が12人というのは、10年以上前にもあったし、前内閣も11人だったからそんなに驚きではないかも」というコメントが発信された。

 

一見「世界最年少の女性首相」の誕生はまさに“女性活躍推進”“の最先端であり、驚きの顔ぶれといった感覚があるが、駐日フィンランド大使館に、マリン氏の経歴や、新内閣の顔ぶれが「驚きではない」理由について、お話を伺った。

 

自身の生い立ちから「社会支援と平等」を重視

――マリン氏の経歴について教えて?

マリン氏は1985年11月16日ヘルシンキ生まれ・タンペレ市在住。2018年に生まれた娘と夫の3人暮らしで、タンペレ大学で行政学の修士を取得しています。

2006年より積極的に政治活動に参加(フィンランドでは10代から青年組織を通して政治に関わっていきます)

2012年…タンペレ市議

2013年〜2017年…タンペレ市議長

2017年〜2021年…タンペレ市議

2014年 〜2017年…社会民主党、第2副党首

2015年…初出馬で国会議員に当選(フィンランドでは市議と国会議員を兼任できます)

2017年〜 社会民主党、第1副党首

2019年6月〜2019年12月…交通・通信大臣

2019年12月〜…首相

 

特筆すべき点は、フィンランド最年少(世界でも最年少)で首相になったことと、いわゆるレインボーファミリーで育ったこと(実母とその同性パートナーに育てられたこと)です。

 

駐日フィンランド大使館によると、マリン氏は親のアルコール依存と離婚、貧困を経験し、その後母親とその女性パートナーと生活。

 

義務教育では成績は振るわなかったというが、高校時代に改善。自治体の施設に自分の居場所や仲間を見つけ、その後様々なアルバイトを経て家族初の大学生となり、政治の道へ進んだのだという。

 

歴代の首相に比べて特筆すべき点について挙がったのは、最年少の首相であることと「レインボーファミリー」で育ったこと。

 

マリン氏はこのような家庭環境の中で、「福祉制度と教師が救ってくれた」と語り、社会支援の重要性・平等の大切さを身をもって感じた経験から政治家になったのだという。

 

ただ、2015年に初当選し、わずか4年で首相にまでのぼりつめるのは日本の政界と比べるとやはり驚きだ。

 

「若さ」と「女性であること」は珍しくない

――「最年少」かつ「女性」というポイントが注目されていますが?

 

お伝えしておきたいのは、「世界最年少・女性」というポイントはフィンランドをのぞく世界で注目を浴びていますが、フィンランド国内ではもはや「若さ・女性」という点は珍しくありません。

 

このニュースに対するフィンランド国民の受け止め方としては「年齢や性別に関係なく、スキルや才能が重視されて、その立場にふさわしい人がきちんと着任できて力を発揮できる自国のシステムを誇らしく思っている」というところでしょうか。

 

なので別に「若い女性」だけに限った話ではなく、年齢や性別に関係なく能力を発揮できる社会になっているのがフィンランドです。

 

――では、フィンランドでは「女性活躍」が進んでいるというわけではなく…

 

フィンランドは男女平等が進んでいる国として知られ、世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数2018」ではフィンランドは4位でした。

 

世界で初となる1906年に女性に選挙権と被選挙権を認めた国であり、1907年に当選した女性国会議員は19名、その中から初の女性大臣(ミーナ・シッランパー氏)も誕生しています。

 

また、タルヤ・ハロネン氏が2000年にフィンランド初の女性大統領として就任し、計12年、2期にわたって国の頂点にいたことも大きいのではないでしょうか。

 

現在30代の女性政治家は、政治活動を始めたり、政治に関心を持ちはじめるティーンエイジャーの頃に、このハロネン大統領が世界で活躍していました。

 

そうした姿を見ている女性たちにとっては、女性が政界でも活躍するのは当たり前のことだったのではないかと思います。

 

国会議員数で見れば、現在は200議席のうち92名(46%)が女性になっています。女性議員が増えれば、当然女性にまつわる権利向上・法律施行が増えていきます。

 

女性議員の数は第二次世界大戦後に伸びはじめ、1960年代に急速に増え出しました。1970年には20%を超え、1983年に30%を突破、2007年には40%以上になりました。ちなみに、1980年代生まれの国会議員は25%。なかには90年代生まれの議員もいます。

 

女性大臣の数が男性大臣の数を初めて上回ったのは、2007年の第二次ヴァンハネン内閣になります。

 

先日、大使館内でフィンランド人研修生の女性が「平等っていうのは、何も男女が半々になることじゃない。平等に機会が与えられる、という意味で、機会均等のもと成長できる能力ある者が出世していく。(連立政権を組む他4政党の党首全員が女性、そのうち3名が30代前半なのを受けて)今回の結果は、実力・才能ある人たちがたまたま彼女たちだった、というだけの話」と言っていたことが、今の状況を上手く表現できているように思います。

 

大使館によると、「年齢」と「性別」はフィンランド国内では大きく注目されているポイントではないという。

 

改めて、フィンランドで発足した新内閣は女性12人・男性7人、平均年齢47歳となっているが、日本の安倍内閣は、9月の改造を受け平均年齢は61歳。最年少は小泉進次郎環境大臣(38)であり、女性閣僚は現在19人中3人(改造当時は2人だったが、その後辞任した大臣の後任で1人増)となっている。

 

日本から見ると「女性を積極的に登用している」と見えるかもしれないが、男女平等が進むフィンランドでは、女性の政界進出の早さから育った、女性が当たり前に政治の世界で活躍する土壌、そしてそれを背景にした性別や年齢にとらわれずスキルや才能が重視される価値観があるということだった。

 

今回、世界に驚きを与えたマリン氏の首相就任。

一方で、このニュースを見て年齢や性別に衝撃を受けたということは、まだまだ真の意味での男女平等に遠いのではないか、とも思える。

 

今後日本で「女性活躍」を推進していく中で、この若き女性首相が生まれた背景に「年齢や性別に関係なく能力を発揮できる社会」があることを心に留めておきたい。【12月13日 FNN PRIME】

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同じ北欧デンマークでも、似たようなケースがありました。

 

****デンマークで41歳女性首相就任 中道左派へ政権交代****

デンマークで27日、社会民主党の女性のメッテ・フレデリクセン党首(41)が首相に就任した。デンマーク史上最も若い首相となる。

 

女性としては2人目。同日、発足した新内閣では全閣僚20人のうち7人が女性となった。

 

5日に投開票された総選挙で社民党(中道左派)は同派陣営の他政党から閣外協力の合意を得て第1党となり、ラスムセン前首相率いる自由党(中道右派)から約4年ぶりに政権を奪還していた。(中略)

 

社民党は野党時代から「反移民」の政策を掲げている。デンマークでは、高齢化の進行に伴う財政負担が重荷となり、近年は緊縮財政を敢行。

 

その影響で福祉サービスが低下する一方、中東などからの就業率の低い移民が税金を払わず福祉に頼っているとの批判が国民の間で広がっている。

 

社民党は過去に欧米諸国以外からの移民受け入れ制限を提案しており、国民の支持を集めていた。

 

ただ、社民党に閣外協力する他政党は移民に寛容な姿勢を示しており、反移民の姿勢は緩和される見通しだ。【6月28日 産経】

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【反移民政党の台頭、ネット上では人種差別が日常化という現実も】

こうした女性の社会参加といった面では北欧は先進的なイメージがあり、実際参考にすべき点が多々ありますが、上記デンマーク記事にも触れられているように、移民受け入れに関しては、必ずしも“受入れに寛大なリベラル”という訳でもありません。

 

デンマークで中道左派・社民党が政権を奪取したしたのも、移民制限を掲げて左派が右傾化した結果とも評されています。

 

フィンランドも西欧諸国の中では外国生まれの居住者の割合が最も少なく、反移民感情も強い国です。

4月の総選挙でも、反移民政党が1議席差で第2党となっています。

 

****野党勝利、政権交代へ=反移民政党が第2党―フィンランド総選挙****

フィンランドで(4月)14日、任期満了に伴う議会(一院制、定数200)選挙の投開票が行われ、中道左派の野党・社会民主党(SDP)が第1党、反移民を唱える欧州連合(EU)懐疑派のフィン人党が第2党となった。

 

政権交代となる見通しだ。両党の差はわずか1議席で、SDPにとって「紙一重」(AFP通信)の勝利だった。

 

ヘルシンキからの報道によると、SDPが得票率17.7%で40議席、フィン人党は同17.5%で39議席を獲得。フィン人党の改選前議席は17で、一気に倍以上に増やした。(後略)【4月15日 時事】

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社会的にも、人種差別的言動が見られます。移民や難民が、高い税金で支えられる「高福祉」に“ただ乗り”しているという不公平感が根底にあるものとみられます。

 

****フィンランド、ネット上の人種差別が日常化 政治にも反映 EU報告書****

欧州評議会は10日、フィンランドのインターネット環境には人種差別や特定の人々を標的にした暴言が「当たり前のように」存在し、それらが政治的な言論の場で増加傾向にあると警告した。

 

フィンランドは幸福度、男女平等、生活の質といった面で国際ランキングのトップに立つことが多い。だが、西欧諸国の中では外国生まれの居住者の割合が全人口の6.6%と最も少なく、反移民感情もはびこっている。

 

過去2回の総選挙では、強硬な反移民政策を基盤にした公約を掲げた極右フィン人党が、国内第2の政党に躍進した。

 

欧州評議会の「人種主義と不寛容に反対する欧州委員会」が発表した報告書は、「人種差別や不寛容なヘイトスピーチがエスカレートしている。主な標的となっているのは、難民申請者とイスラム教徒だ」と指摘した。

 

さらに報告書の著者は、オンライン上には「反移民的な言辞や、アフリカ系住民、LGBT(性的少数者)、ユダヤ教徒のコミュニティーを標的にした人種差別的、排外主義的な表現、ロマ人に関する暴言が当たり前のように投稿されている」とも指摘した。

 

昨年、欧州基本権庁は、フィンランド在住のアフリカ系住民が、調査対象となった他のEU12か国に比べて最も頻繁に人種に基づいた差別や暴力の標的になっていることを明らかにした。

 

フィンランド当局は2017年に1165件の憎悪犯罪を記録した。しかしECRIの報告書は、収集されたデータが十分でないため、毎年のデータ比較も正確にできないと批判している。それでも市民団体の調査によると2015年以降、憎悪犯罪は増加傾向にある。

 

フィンランドでは警察が人種や民族に基づいてプロファイリング(犯人像推定)を行うことは2015年に非合法化されたが、ECRIによると現在も警察のそうした活動は珍しくない。

 

また警察官の人種構成は、フィィンランド人口を構成するさまざまな人種を反映しておらず多様性に欠くとも、ECRIは批判している。 【9月11日 AFP】

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「年齢や性別に関係なく能力を発揮できる社会」から誕生した「世界最年少34歳の女性首相」が、人種・宗教の差別にどのように対応するのか、関心がもたれます。

 

****世界最年少の女性首相 フィンランドのマリーン氏、欧州外交デビュー 女性連立政権率いる****

12、13日の欧州連合(EU)首脳会議では、現職で世界最年少首相として10日に就任したフィンランドのサンナ・マリーン首相(34)がEU議長国の首脳として出席し、欧州外交にデビューした。

 

マリーン氏は12日、黒いスーツ姿で会場入り。記者団に温暖化対策への意気込みを語り、「子供たちの将来がかかっている」と訴えた。

 

同氏の社会民主党と連立を組む4党はいずれも女性党首で、「女性5人が率いる政府で、私は首相としてリードします。連立政権の方針に大きな変化はない」と述べた。5人のうち同氏を含め4人が30代、1人は50代という布陣だ。

 

マリーン氏は地方議員から4年前、国会議員に転身。今年6月に運輸・通信相となり、ストの混乱で辞任したリンネ前首相の後任に選ばれた。両親は幼少時に離婚。母親と同性パートナーに育てられた。現在は、実業家の夫との間に1歳の娘がいる。女性首相はフィンランドで3人目。【12月13日 産経】

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