親子の盃

たまには、晩酌でもやるか、とハタチの息子を誘う。

晩酌って、どういうこと、って言うから、ま、メシの前に酒を飲む、ってことだよ。

よく、おじいちゃんがやってたでしょ、と。

おじいちゃんといえば、お酒が、ちょうどいいところで、とまらないんだよね。

酔っ払いすぎちゃうからね。

こんなこというと、おじいちゃんに怒られちゃうけどさ、と天井を指差しながら、言っておく。

一人暮らしをするようになって、親ばかなんだろうけど、息子が、落ち着いて見える。

妻に言わせれば、自分なんかより、よっぽど、しっかりしている、と。

でも、わたし、ハタチの頃のほうが、しっかりしてたな、とも。

おいおい。

去年くらいから、浮かれ街で名をあげることから、家庭で名をあげること、に切り替えてみると、家庭のなかも、おもしろいことだらけ。

いいもわるいも、両方とも、おもしろい。

お伊勢まいりに一緒に行ってきた、羽衣の舞（残ったお酒をもらってきたんだけど）をのみながら、なぜか、当方、息子より、早く、酔いがまわった。