先週オークションで鈴木清順監督作『ピストルオペラ』(コレクターズ・エディション)という邦画のDVDを結構なお手頃価格で競り落としました。
鈴木清順監督の映画は見たことありませんでしたが、78歳の大ベテランで数々の役者たちからリスペクトされているそうですが、まさか自分がこんな前衛的な映画にハマるとは夢にも思ってませんでした。
きっかけはこの映画のテーマソング“野良猫のテーマ”をエゴ・ラッピンのVo中納良江さんと、日本ダブ界の重鎮こだま和文さんとがコラボってたので興味を持ったっちゅーミーハーな動機ですわ。
まぁエゴの歌がからんでいるからといって、そのストーリーが絶対優れてるっちゅーわけではないのは、連続TVドラマ『探偵濱マイク』が証明しとることではありますが、そういう動機でもなければ、なかなかこの辺の邦画には巡り合えんでしょうからね~。そういう意味ではエゴが好きなおかげでこんなぶっ飛んだ映画に出会えたことを非常にラッキーだと思いました。
話は簡単に言うと、殺し屋の巨大組織“ギルド”の内部で、プロの殺し屋たちがランキングナンバー1を争って殺し合うっちゅーものなのだが、いや、これがまた普通のアクション映画じゃない!てかアクションじゃないか。
なんちゅーか舞台演劇を見てる感じで、不条理な舞台設定、アバンギャルドなストーリー展開、戯曲にも似たセリフ回し、もう全てが常軌を逸しているのだ。
ストーリーは行き当たりばったり感が凄まじく、この場面をどう装飾するかとか終始そういうことばっかり撮ってる映画なのです。
殺し屋のキャラ、死に方にしたってそう。冒頭で東京駅の屋根の上でキリストみたいに釣り下がって笑みを浮かべたまま死ぬ沢田研二扮する“昼行灯の萬”、車椅子に座ったまま海岸に入水していく“生活指導の先生”、舞を踊りながら可憐に倒れる“百目”。
芝居じみてて大仰と言えば大仰なのだが、この映画ではそうすることが目的みたいな世界なので、見てる側はなぜそういう展開になる?と考える暇もなく、目くるめくこの色彩豊かな映像世界にだんだんと引き込まれていってしまうのである。
そして役者がまたいい!主役の女殺し屋通称“野良猫”の皆月美有紀(レズ)を演じる未納女優江角マキコは、セリフ回しはちとクサいが、黒の和服にブーツというスタイルが見事にハマっていてカッコいい!!オマケにひとりエッチシーンまで見せてくれるという、江角ファンには正にヨダレものの演出なんじゃないか?
この映画初出演でヌードまで披露してしまった撮影当時まだ10才の韓英恵演じる不思議少女小夜子の存在感もいい。あまり感情的な演技を要求されてないあどけないセリフ回しが、この謎めいた少女の雰囲気にピッタリあてはまっている。
あと樹木希林の脇役所もいいし、昔の栄光にすがる哀れな殺し屋を演じる平幹二朗のセリフ回しは秀逸!この映画の中で一番演技力が光ってたんじゃないかな。
最期のストップモーションで「バカーー!!」って叫んで終るシーンが最高!
そして、この映画のもうひとつの魅力となっている必要不可欠な要素はズバリ音楽でしょう!
抜群に洒落てるオープニングタイトルで挿入されるエゴ・ラッピンの“サイコアナルシス”。劇中でもTICOのスティール・パンが場面にとてつもない“和”の雰囲気を与えているし、なんつっても皆月と小夜子がE.T.みたいに人差し指を合わせるシーンで絶妙なタイミングで挿入されるこだま和文のダブナンバーがたまりませんわ。
この映画、まぁタランティーノの『キル・ビル』に近いといえば近いかな。監督の好きなものをひっくるめて映画にブチ込んだといいましょうか、ちょっとエゴのきつい。まぁ本作は『キル・ビル』ほどポップではないし、もっと変態的ですが。
とにかくオーソドックスな映画が好きな人にはとてもじゃないけどススメられない。もうハリウッド映画とかCG映画とかに見飽きた人とか、前衛的な演劇が好きな人向きかもしれません。
つっても私自身は金払って劇場まで劇団四季などを見に行くような趣味はございませんが。
ついでといってはなんですが、この映画のパンフとオフィシャルガイドブックもセット価格500円で競り落としときました。サントラも以前買ったし軽いコレクター趣味に走っています。ハマると追求してしまうクセが出ちまうんですよね。
オフィシャルガイドブックの映画評論家たちの対談を読んだけど、全然参考にはなりませんでした。
ま、この映画に意味とか求めるだけ無駄ってことですわな。
オススメ度:★★★★★
鈴木清順監督の映画は見たことありませんでしたが、78歳の大ベテランで数々の役者たちからリスペクトされているそうですが、まさか自分がこんな前衛的な映画にハマるとは夢にも思ってませんでした。
きっかけはこの映画のテーマソング“野良猫のテーマ”をエゴ・ラッピンのVo中納良江さんと、日本ダブ界の重鎮こだま和文さんとがコラボってたので興味を持ったっちゅーミーハーな動機ですわ。
まぁエゴの歌がからんでいるからといって、そのストーリーが絶対優れてるっちゅーわけではないのは、連続TVドラマ『探偵濱マイク』が証明しとることではありますが、そういう動機でもなければ、なかなかこの辺の邦画には巡り合えんでしょうからね~。そういう意味ではエゴが好きなおかげでこんなぶっ飛んだ映画に出会えたことを非常にラッキーだと思いました。
話は簡単に言うと、殺し屋の巨大組織“ギルド”の内部で、プロの殺し屋たちがランキングナンバー1を争って殺し合うっちゅーものなのだが、いや、これがまた普通のアクション映画じゃない!てかアクションじゃないか。
なんちゅーか舞台演劇を見てる感じで、不条理な舞台設定、アバンギャルドなストーリー展開、戯曲にも似たセリフ回し、もう全てが常軌を逸しているのだ。
ストーリーは行き当たりばったり感が凄まじく、この場面をどう装飾するかとか終始そういうことばっかり撮ってる映画なのです。
殺し屋のキャラ、死に方にしたってそう。冒頭で東京駅の屋根の上でキリストみたいに釣り下がって笑みを浮かべたまま死ぬ沢田研二扮する“昼行灯の萬”、車椅子に座ったまま海岸に入水していく“生活指導の先生”、舞を踊りながら可憐に倒れる“百目”。
芝居じみてて大仰と言えば大仰なのだが、この映画ではそうすることが目的みたいな世界なので、見てる側はなぜそういう展開になる?と考える暇もなく、目くるめくこの色彩豊かな映像世界にだんだんと引き込まれていってしまうのである。
そして役者がまたいい!主役の女殺し屋通称“野良猫”の皆月美有紀(レズ)を演じる未納女優江角マキコは、セリフ回しはちとクサいが、黒の和服にブーツというスタイルが見事にハマっていてカッコいい!!オマケにひとりエッチシーンまで見せてくれるという、江角ファンには正にヨダレものの演出なんじゃないか?
この映画初出演でヌードまで披露してしまった撮影当時まだ10才の韓英恵演じる不思議少女小夜子の存在感もいい。あまり感情的な演技を要求されてないあどけないセリフ回しが、この謎めいた少女の雰囲気にピッタリあてはまっている。
あと樹木希林の脇役所もいいし、昔の栄光にすがる哀れな殺し屋を演じる平幹二朗のセリフ回しは秀逸!この映画の中で一番演技力が光ってたんじゃないかな。
最期のストップモーションで「バカーー!!」って叫んで終るシーンが最高!
そして、この映画のもうひとつの魅力となっている必要不可欠な要素はズバリ音楽でしょう!
抜群に洒落てるオープニングタイトルで挿入されるエゴ・ラッピンの“サイコアナルシス”。劇中でもTICOのスティール・パンが場面にとてつもない“和”の雰囲気を与えているし、なんつっても皆月と小夜子がE.T.みたいに人差し指を合わせるシーンで絶妙なタイミングで挿入されるこだま和文のダブナンバーがたまりませんわ。
この映画、まぁタランティーノの『キル・ビル』に近いといえば近いかな。監督の好きなものをひっくるめて映画にブチ込んだといいましょうか、ちょっとエゴのきつい。まぁ本作は『キル・ビル』ほどポップではないし、もっと変態的ですが。
とにかくオーソドックスな映画が好きな人にはとてもじゃないけどススメられない。もうハリウッド映画とかCG映画とかに見飽きた人とか、前衛的な演劇が好きな人向きかもしれません。
つっても私自身は金払って劇場まで劇団四季などを見に行くような趣味はございませんが。
ついでといってはなんですが、この映画のパンフとオフィシャルガイドブックもセット価格500円で競り落としときました。サントラも以前買ったし軽いコレクター趣味に走っています。ハマると追求してしまうクセが出ちまうんですよね。
オフィシャルガイドブックの映画評論家たちの対談を読んだけど、全然参考にはなりませんでした。
ま、この映画に意味とか求めるだけ無駄ってことですわな。
オススメ度:★★★★★